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鈴木寛「混沌社会を生き抜くためのインテリジェンス」

超売り手市場の就職戦線
企業は「訳あり」学生を狙え!

鈴木寛 [文部科学大臣補佐官、東京大学・慶応義塾大学教授]
【第30回】 2015年5月18日
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売り手市場は就活生にとっては明るい話だが、採用する企業側にとっては頭の痛い事態だ

 こんにちは、鈴木寛です。

 ゴールデンウィークが終わり、2016年卒の大学生の就職活動が本格化しています。昨年のコラムでは「就活インテリジェンス」と題し、大学生が就活で持つべき視点を書きましたが、今回は、採用する企業側の姿勢について考えてみたいと思います。

売り手市場を前に厳しい戦い
ところが企業側は戦略不在

 今季の就活の特徴としては、活動期間の解禁が3月にずれ込んだことで「短期決戦」と化していることです。彼らの1年先輩に当たる、この春に卒業した大学生の就職内定率は86.7%。リーマンショック前の水準に回復しており、企業側も近年にないくらい採用意欲を高めていますので、日本人男子学生らにとっては「売り手市場」そのもの。

 しかし、逆に言えば、優秀な人材を確保したい企業側にとっては、文字通り“レッドオーシャン”での激戦になります。学生に人気の大手企業も採用枠を増やしており、中小ベンチャー企業にとっては、さらに厳しい情勢です。

 学生の囲い込みに各企業とも必死。豪華客船での会社説明会が行われたといったニュースは、まるで懐かしいバブル時代の様相を呈しており、あるいは内定や内々定を出した学生に対し、企業側が早く就活をやめるように有形無形の圧力をかける「オワハラ」(終われハラスメント)なる言葉までささやかれているほどです。

 こうした状況に私はかなり違和感を覚えます。というのも、各企業とも本業では、卓越した経営戦略やマーケティング戦略を発揮して効率的に結果を出しているにもかかわらず、なぜか新卒の人材獲得競争となるとおよそ同じように動いているように見えません。

 極端な例えかもしれませんが、たとえば強豪同士が名門でライバル意識が過剰な業界だと、A社の人事責任者が学校名等の旧来型の評価軸を置いて、「うちはライバルのB社よりも東大生を多く採るぞ」と意気込んでいるかもしれません。一方、中小は中小で、社長が人事担当に「大手に負けるな。とにかく少しでも優秀な奴を採れ」と、がむしゃらに発破をかけていたり、あるいは「どうせ大手に優秀な人材は取られるのはしょうがない」と、すぐに諦めたりしていないでしょうか。

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鈴木 寛 [文部科学大臣補佐官、東京大学・慶応義塾大学教授]

すずき・かん/元文部科学副大臣、参議院議員。1964年生まれ。東京大学法学部卒業後、86年通産省入省。2001年参議院議員初当選(東京都)。民主党政権では文部科学副大臣を2期務めるなど、教育、医療、スポーツ・文化を中心に活動。党憲法調査会事務局長、参議院憲法審査会幹事などを歴任。13年7月の参院選で落選。同年11月、民主党離党。14年から国立・私立大の正規教員を兼任するクロス・アポイントメント第1号として東京大学、慶応義塾大学の教授に就任。同年、日本サッカー協会理事。15年2月から文部科学大臣補佐官として大学入試改革などを担当している。


鈴木寛「混沌社会を生き抜くためのインテリジェンス」

インテリジェンスとは「国家安全保障にとって重要な、ある種のインフォメーションから、要求、収集、分析というプロセスを経て生産され、政策決定者に提供されるプロダクト」と定義されています。いまの日本社会を漫然と過ごしていると、マスメディアから流される情報の濁流に流されていってしまいます。本連載では既存のマスメディアが流す論点とは違う、鈴木寛氏独自の視点で考察された情報をお届けします。

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