ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
週刊・上杉隆

筑紫哲也氏は本当に賞賛すべきジャーナリストだったのか

上杉 隆 [(株)NO BORDER代表取締役]
【第53回】 2008年11月13日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage

 11月7日、ジャーナリストの筑紫哲也氏が亡くなった。ヘビースモーカーらしく死因は肺ガンだという。1年半に及ぶ闘病生活の末の永眠、73歳だった。

 翌日から、テレビでは追悼番組が流され、新聞では氏の功績を称える記事が掲載される。

 「硬骨漢のジャーナリスト」、「弱者の味方」という言葉が躍り、文字通り、絶賛の嵐である。

 確かに、朝日新聞記者からスタートし、政治部記者、海外特派員、朝日ジャーナル編集長、ニュースキャスターと歩んできたその経歴を振り返れば、さもありなんであろう。

 だが、正直に告白すれば、筆者にはどうしてもその種の報道がしっくりこない。

 基本的に、日本社会は「死者への鞭打ち」をタブーとしている。中国春秋時代、楚の平王の死体に鞭打った故事に倣い、権力者といえども、死者は尊厳をもって扱われるべきという観念は、いまなお日本社会にも通念している。

 確かに、反論のできない死者に対して、一方的な批判を繰り出すのはフェアでないに違いない。

 しかし、一般人ならばそれでいいのかもしれないが、自らも他人に対して厳しい批判を繰り出していたジャーナリストという職業となると、そうもいかない。厳しい仕事ではあるが、その実績については、是々非々で検証されるべきであろう。それが却って、筑紫氏の功績を輝かせることに繋がると筆者は信じる。

日本で唯一の
キャスターと言われたが

 6年前、筆者はその筑紫氏へのインタビューを行った。正確には、月刊誌『現代』(2003年2月号)の記事(「寡黙なカリスマへの大いなる疑問 筑紫哲也はニュース番組を迷走させる」)の中で、筑紫氏の反論が必要となって、電話取材で話を聞いたことだ。

 「『君臨すれども統治せず』というのが、番組開始以来の私の一貫した姿勢です」

 当時、筆者にこう語った筑紫氏だが、まさしくこの言葉こそ、筑紫氏の目指してきた報道番組の精神を指し示すものである。

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR


おすすめの本
おすすめの本
宰相不在―崩壊する政治とメディアを読み解く

「お腹の調子が悪い」と政権を投げ出した安倍首相。「あなたとは違うんです」と逆ギレして職を辞した福田首相。そして漢字と空気が読めず政権崩壊寸前の麻生首相。この国の政治の混迷とメディアの体たらくを上杉隆が斬る。1500円(税込)

話題の記事

上杉 隆 [(株)NO BORDER代表取締役]

株式会社NO BORDER代表取締役。社団法人自由報道協会代表。元ジャーナリスト。1968年福岡県生まれ。都留文科大学卒業。テレビ局記者、衆議院議員公設秘書、ニューヨーク・タイムズ東京支局取材記者、フリージャーナリストなどを経て現在に至る。著書に『石原慎太郎「5人の参謀」』 『田中真紀子の恩讐』 『議員秘書という仮面―彼らは何でも知っている』 『田中真紀子の正体』 『小泉の勝利 メディアの敗北』 『官邸崩壊 安倍政権迷走の一年』 『ジャーナリズム崩壊』 『宰相不在―崩壊する政治とメディアを読み解く』 『世襲議員のからくり』 『民主党政権は日本をどう変えるのか』 『政権交代の内幕』 『記者クラブ崩壊 新聞・テレビとの200日戦争』 『暴走検察』 『なぜツイッターでつぶやくと日本が変わるのか』 『上杉隆の40字で答えなさい~きわめて非教科書的な「政治と社会の教科書」~』 『結果を求めない生き方 上杉流脱力仕事術』 『小鳥と柴犬と小沢イチローと』 『永田町奇譚』(共著) 『ウィキリークス以後の日本 自由報道協会(仮)とメディア革命』 『この国の「問題点」続・上杉隆の40字で答えなさい』 『報道災害【原発編】 事実を伝えないメディアの大罪』(共著) 『放課後ゴルフ倶楽部』 『だからテレビに嫌われる』(堀江貴文との共著)  『有事対応コミュニケーション力』(共著) 『国家の恥 一億総洗脳化の真実』 『新聞・テレビはなぜ平気で「ウソ」をつくのか』 『大手メディアが隠す ニュースにならなかったあぶない真実』


週刊・上杉隆

永田町を震撼させる気鋭の政治ジャーナリスト・上杉隆が政界に鋭く斬りこむ週刊コラム。週刊誌よりもホットで早いスクープ情報は、目が離せない。
2011年12月終了、後継新連載「週刊 上杉隆」はこちら

「週刊・上杉隆」

⇒バックナンバー一覧