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オバマ大統領が絶賛する総合病院
メイヨー・クリニックの医療革命

瀧口範子 [ジャーナリスト]
【第58回】 2009年8月26日
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 ミネソタ州ロチェスターという小さな町の名前を聞いたことはなくても、医療関係者、あるいは海外の医療事情に関心のある読者ならば、メイヨー・クリニックという、アメリカが誇る総合病院の名前を耳にしたことはあるかもしれない。

 『USニュース&ワールド・レポート』誌の病院のランキングで毎年1、2位に入るこの病院は、世界中から難病を抱えた患者が訪れることでも知られている。

 このメイヨー・クリニックが最近、知名度をさらに増している。医療保険改革の渦中にあるオバマ大統領が、「高い質の医療を提供しながら、医療費を低く抑えている」成功例としてメイヨー・クリニックとクリーブランド・クリニックを名指しし、アメリカの医療が模範とすべき対象だと褒め讃えたからだ。

 メイヨー・クリニックの特徴は、そのチーム医療にあると言われている。一人の患者の治療方針を決定するために、他科の医師もチームに加わって総合的に病状を診断し、最適な治療法を探っていく。メイヨー・クリニックでは、どの医師も6割の時間を他科のために費やしており、チーム医療が効率的に推進されるよう、そのための時間割の方法論も確立している。

 このチーム医療は、治療費の抑制にもつながっている。

 病状を総合的に分析することによって、無駄な手術や検査を排しているからだ。アメリカの医療保険制度では、医師が行うひとつひとつの処置が保険による払い戻しの対象単位となっており、利益の最大化を狙う医師がむやみに処置を重ねることが多い。後々の訴訟を避けるための証拠取りとしての検査も数々見られる。

 さらに日本から見ていると分からないが、アメリカのほとんどの病院では医師をフルタイムで雇わず、独立した外部の専門医師が治療施設を間借りするというかたちになっている。これも、そんな利益追求を煽る一因だ。

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瀧口範子 [ジャーナリスト]

シリコンバレー在住。著書に『行動主義: レム・コールハース ドキュメント』『にほんの建築家: 伊東豊雄観察記』(共にTOTO出版)。7月に『なぜシリコンバレーではゴミを分別しないのか?世界一IQが高い町の「壁なし」思考習慣』(プレジデント)を刊行。


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