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モビリティ羅針盤~クルマ業界を俯瞰せよ 佃義夫

トヨタ・マツダ包括提携の衝撃
生き残りをかけた自動車大再編“第五幕”の予兆

佃 義夫 [佃モビリティ総研代表]
【第5回】 2015年5月22日
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トヨタとマツダが業務提携で合意
「トヨタグループ入り」は既定路線?

トヨタとマツダの提携記者会見で、息がピッタリの様子を見せた豊田章男・小飼雅道両社長。両社の提携が自動車業界に投げかけた波紋は、小さくなさそうだ Photo:Natsuki Sakai/AFLO

 トヨタとマツダが業務提携で合意し、豊田章男・トヨタ社長、小飼雅道・マツダ社長による緊急記者会見が、5月13日の夜に行われた。その日、横浜本社で行われた日産の3月期決算発表に出席した筆者も、カルロス・ゴーン・日産社長の会見に出たその夜、トヨタとマツダの会見に臨んだ。

 両社は、「クルマが持つ魅力をさらに高めていく」ことを念頭に、両社の経営資源の活用や、商品・技術の補完など、相互にシナジー効果を発揮し得る、継続性のある協力関係の構築に向けた覚書に調印したと発表した。

 都内ホテルで行われた両社の業務提携会見は、冒頭から豊田章男・小飼雅道両社長によるにこやかな笑顔での握手撮影から始まる異例なものだった。「結婚会見なのか」と質問が出たほどだが、「結婚と言うより婚約会見」と豊田章男社長が答えれば、「従来の提携の枠組みを超える」と小飼社長も応じる。2人の息が絶妙にマッチしていると感じた。

 いずれにしても、このトヨタ、マツダの業務提携合意会見は、提携合意における両社の共通認識を披瀝するものにとどまった。具体的な合意内容や成果に関しては触れられず、今後両社で組織する検討委員会において、環境技術、先進安全技術といった分野をはじめとする、互いの強みを活かせる具体的な業務提携の内容の合意を目指していくというものだった。

 むしろ、トヨタがハイブリッド技術をマツダへ供与し、マツダがメキシコ新工場で生産する「デミオ」をトヨタの米国ベビーブーマー向けブランド「サイオン」へOEM供給するというように、両社はすでに相互連携の関係にあり、これを発展させる業務提携ということになる。マツダのメインバンクは三井住友銀行だが、三井家は豊田家の姻戚関係にもあたるため、こうしたところにも縁を感じる。

 つまり、マツダがトヨタとの包括的業務提携に進むことで、「トヨタグループ入り」を明確にすることが、今回の発表のポイントと言えよう。

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佃 義夫[佃モビリティ総研代表]

つくだ・よしお/1970年、創刊86周年(2014年2月時点)の歴史を持つ自動車産業日刊専門紙『日刊自動車新聞社』入社、編集局に配属。自動車販売(新車・中古車)・整備担当を皮切りに、部品・物流分野を広域において担当した後、国土交通省・経済産業省など管轄官庁記者クラブ、経団連記者クラブ(自工会分室)と、自動車産業を総合的に網羅し、専任担当記者としてのキャリアを積む。その後、該当編集局内における各分野のデスク・論説担当編集局次長を経て、出版局長として自動車産業オピニオン誌『Mobi21』を創刊。以降、取締役編集局長・常務・専務・代表取締役社長を歴任。45年間の社歴全域で編集・出版全体を担当、同社の「主筆」も務める。日刊自動車新聞社を退任後、2014年に「佃モビリティ総研」を立ち上げ、同総研代表となる。


モビリティ羅針盤~クルマ業界を俯瞰せよ 佃義夫

「自動車」から「モビリティ」の時代へ――。クルマ業界が変貌を遂げつつあるなか、しのぎを削る自動車各社。足もとで好調を続けるクルマ業界の将来性と課題とは、何だろうか。日本の自動車産業・クルマ社会をウオッチしてきた佃義夫が、これまでの経験を踏まえ、業界の今後の方向・日本のクルマ社会の行方・文化のありかたなどについて、幅広く掘り下げ提言していく。

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