中小企業が海外に販売代理店をもつなんて、とても無理だとお考えでしょうか。決してそんなことはありません。優先すべきは「いかに海外に顧客を見つけるか」という点ですから、まずは現地の事情に通じた販売代理店を探しましょう。あなたの会社の営業マンとして現地で活動してくれる販売代理店網を世界中に張り巡らせるのです。

 販売先・販売提携先さえ見つかれば、彼らのアドバイスをもとに現地の状況に即して認証の問題を解決できます。また製品が売れ始めて輸出業務がパターン化されれば、英語力はそれほど重要でなくなります。

海外の販売代理店は
2種類に大別される

 海外の販売代理店には大きく分けて2種類あります。あなたの会社から製品を購入して再販する「ディストリビューター」と、販売先だけ探して成功報酬として手数料を受け取る「セールスレップ」です。いずれかを、製品や人材の状況に合わせて探していきましょう。

 そして、あなたの会社にぴったりの販売代理店を見つけるためには、社内または国内取引で「あうんの呼吸」——いわば感覚で伝わっているさまざまなことを、明確に言語化して伝える必要があります。「言葉にして文書化しなければ情報が伝わらない」という事実はぜひご理解いただきたい点です。

 「製品説明」は販売代理店の興味の半分でしかありません。競合他社に勝る製品特性やアフターケアの必要性など製品を詳しく紹介するだけでなく、相手側の心配を受けとめて、どのようにウィン=ウィンの関係を作るつもりなのかという誠意を、きちんと言葉にして伝えることが重要です。海外企業に「悪いようにはしないから……」などと言っても、信頼関係はなかなか築けません。

 本書では、そうした販売代理店網を作るプロセスにおいて、やってしまいがちな失敗や克服法も具体的に挙げました。私自身の過去の失敗と成功のほか、その後に経営コンサルタントとして中小企業100社以上の海外市場調査や販売網構築をお手伝いしてきた経験を凝縮しています。