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莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

日本の寂れた地方都市よ、
“インバウンド町おこし”で再び賑わいを

莫 邦富 [作家・ジャーナリスト]
【第253回】 2015年5月28日
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 講演など仕事の関係で日本各地によく行く。地方を訪問する頻度は低くないと思うのだが、一度訪れた地方都市を再度訪問するまでに、たいていかなり時間がかかってしまう。

 今週、訪れた北海道の釧路も例外ではない。47の都道府県の中で、北海道は大阪と並んで、私が最も多く訪問した地方自治体の一つである。だが、具体的に釧路という地方になると、実は十年ぶりの再訪となってしまった。釧路川の畔で変わらぬ風景を目にした私は感激しながら、再訪の機会をいただいたありがたみを噛みしめていた。

 前回は冬ということもあり、市内をあまり回らなかった。そのため、今回は3時間近くもかけて市街区を貫く主要通りの北大通りと南大通りを軸にして、市内をぶらぶらと歩き回っていた。啄木通りとも呼ばれる南大通りに一歩入ると、否応なく明治時代の歌人・詩人である石川啄木の存在感の大きさに圧倒された。

朽ち果てた明治の詩人の碑に
現代の啄木の必要性を感じた

啄木通りには、街路灯に啄木の歌をプリントした旗がかかる

 歩行道の路面に何かがはめ込まれているのに気付き、覗いてみたら、啄木の歌を書いたタイルだった。旗のようなものが電柱にぶら下がっているのが遠くから見えてきたが、近づいて見たら、なんとその旗の片面に「啄木通り」と書かれている。裏側には、啄木の歌がプリントしてある。

 啄木来釧の日を記念する場所もあれば、釧路を発った時の場所も大事に宣伝している。わずか76日間しか滞在していなかった詩人とこんなに密接に結ばれている地方都市は、日本広しといえども、そうたくさんあるはずはない、と思った。

 しかし、地元ではこれだけ存在感のある啄木も時代の変化には勝てなかったようだ。電柱にぶら下がっているこれらの旗のほとんどがすでにボロボロになっており、一部の文字は判読できなくなっている。啄木の歌碑やゆかりの建物などのビューポイントを案内するステンレス製の案内板も文字がほとんど消えてしまった。

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莫邦富(モー・バンフ) [作家・ジャーナリスト]

1953年、上海市生まれ。85年に来日。『蛇頭』、『「中国全省を読む」事典』、翻訳書『ノーと言える中国』がベストセラーに。そのほかにも『日中はなぜわかり合えないのか』、『これは私が愛した日本なのか』、『新華僑』、『鯛と羊』など著書多数。


莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

地方都市の勃興、ものづくりの精度向上、環境や社会貢献への関心の高まり…中国は今大きく変わりつつある。先入観を引きずったままだと、日本企業はどんどん中国市場から脱落しかねない。色眼鏡を外し、中国ビジネスの変化に改めて目を凝らす必要がある。道案内人は日中を行き来する中国人作家・ジャーナリストの莫邦富氏。日本ではあまり報道されない「今は小さくとも大きな潮流となりうる」新発見を毎週お届けしよう。

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