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東芝の不適切会計が示すガバナンス欠如の重い代償

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第378回】 2015年6月1日
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電機の勝ち組が起こした不祥事
過去の例では信頼回復に長い時間

6月の株主総会でも決算説明ができない異例の事態に
Photo:Takahisa Suzuki

 東芝は4月3日、2014年3月期のインフラ関連工事の会計処理に不適切な手続きがあったとして、室町会長をトップにした特別調査委員会を設置すると発表した。

 それに続き5月8日、同社は委員会の調査に基づき不適切な会計処理が見つかったとして、15年3月期決算の公表を6月以降に延期し、期末の配当を見送ると発表した。さらに、5月13日深夜、14年3月期までの3年間に、インフラ関連工事に係り約500億円の営業利益がかさ上げされた可能性があると公表した。

 大手電機メーカーの中で“勝ち組”と言われる同社で、発表のように不適切な会計処理がなされていたことは、金融市場から大きな驚きとして受け止められている。

 特に、問題が内部告発によって表面化したことも注目される。同社のガバナンスの機能が働いていないことを意味するからだ。

 不適切な会計処理については、過去にもIHIやオリンパスなどに例はあるものの、いずれのケースでも当該企業が金融市場からの信用を取り戻すために多くの時間を要している。

 今後、東芝は、外部委員による厳格な調査を行いその結果をすべて公表するとしているが、不適切処理発生の背景や、経営陣の関与の解明などすべてを解明するのは容易なことではないだろう。

 3月決算の上場企業には、6月末の決算書類提出が義務づけられているが、5月29日にはその提出も8月末に延期するとした。同社の行く道はより厳しくなるはずだ。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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