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宿輪ゼミLIVE 経済・金融の「どうして」を博士がとことん解説

電子マネーからフィンテックまで 
決済の進化と銀行経営のリスク

宿輪純一 [経済学博士・エコノミスト]
【第12回】 2015年6月3日
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電子マネーの決済金額は5兆円を超える

 電子マネーの利用が拡大しています。前払い式の主要5電子マネー(ナナコ、スイカ、パスモ、イコカ、ワオン)の合計決済件数は、昨年約30億件を超え、年間で約24億件だった2013年を上回っています。金額も5兆円を超えたもようです。

 使える場所が広がっていることに加え、消費増税を機に小銭が面倒と感じた消費者が利用を増やしているからです。消費増税は昨年4月だったので、今年はさらに電子マネーの決済が増加するでしょう。現在、一人当たり約2枚を持っている勘定になっています。

 この日本で一般的な「前払式電子マネー」は、ICチップにおカネをチャージ(入金)してやりとりをします。現在の「非接触IC」の付いたカードを読取機から約10センチメートルの距離に近づけると支払が行なわれます。

 さらには、日本では金融商品とは認められていないものの、ビットコイン(Bitcoin)をはじめとした仮想通貨も、世界では1100種を超えてさらに増えています。仮想通貨も電子マネーの性質を持っています。仮想通貨もITの発展によって出現した決済金融商品です。

そもそも決済とは何か

 「決済」というのは、読んで字の如しで「済を決めること」つまり、債権・債務を解消する商取引の最終段階のこと。具体的には、決済には、現金決済と小切手などによる決済があります。そもそも、正確には、この小切手等による決済を「為替」といいます。現在、それが電子化した送金(振込)も為替となります。

 為替は銀行法に基づいて、銀行しか行えませんでした。銀行以外の方が振込を代行すると「地下銀行」となって罰せられます。しかし、主として海外送金の解放のため「資金決済法」ができて、1回あたり100万円以下なら、金融庁に登録すれば資金移動業者として送金ができるようになりました。現在は約40社が登録されています。

 一般的に日本で使われている電子マネーも資金決済法で規定されています。正確には現金(決済)ではなく「前払式支払手段」と呼ばれており、買物や乗物に使用でき、電子マネーの名前の通り、現金のように使われます。

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宿輪純一[経済学博士・エコノミスト]

しゅくわ・じゅんいち
 博士(経済学)・エコノミスト。帝京大学経済学部経済学科教授。慶應義塾大学経済学部非常勤講師(国際金融論)も兼務。1963年、東京生まれ。麻布高校・慶應義塾大学経済学部卒業後、87年富士銀行(新橋支店)に入行。国際資金為替部、海外勤務等。98年三和銀行に移籍。企画部等勤務。2002年合併でUFJ銀行・UFJホールディングス。経営企画部、国際企画部等勤務、06年合併で三菱東京UFJ銀行。企画部経済調査室等勤務、15年3月退職。4月より現職。兼務で03年から東京大学大学院、早稲田大学、清華大学大学院(北京)等で教鞭。財務省・金融庁・経済産業省・外務省等の経済・金融関係委員会にも参加。06年よりボランティアによる公開講義「宿輪ゼミ」を主催し、4月で10周年、開催は200回を超え、会員は“1万人”を超えた。映画評論家としても活躍中。主な著書には、日本経済新聞社から(新刊)『通貨経済学入門(第2版)』〈15年2月刊〉、『アジア金融システムの経済学』など、東洋経済新報社から『決済インフラ入門』〈15年12月刊〉、『金融が支える日本経済』(共著)〈15年6月刊〉、『円安vs.円高―どちらの道を選択すべきか(第2版)』(共著)、『ローマの休日とユーロの謎―シネマ経済学入門』、『決済システムのすべて(第3版)』(共著)、『証券決済システムのすべて(第2版)』(共著)など がある。
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連絡先: info@shukuwa.jp

 


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「円安は日本にとってよいことなんでしょうか?」「日本の財政再建はどうして進まないのでしょうか」。社会人から学生、主婦まで1万人以上のメンバーを持つ「宿輪ゼミ」では、経済・金融の素朴な質問に。宿輪純一先生が、やさしく、ていねいに、その本質を事例をまじえながら講義しています。この連載は、宿輪ゼミのエッセンスを再現し、世界経済の動きや日本経済の課題に関わる一番ホットなトピックをわかりやすく解説します。

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