2014年12月26日、大阪市長・橋下徹氏は、生活保護の生活扶助(生活費相当分)を一部プリペイドカードで支給するモデル事業について発表した。賛否とも大きな反響を呼んでいるこのモデル事業は、どのような問題を解決すると期待されているのだろうか? その期待は、実現するだろうか? 語られていない弊害は、どのようなものだろうか?

大阪市「生活扶助プリペイドカード化」モデル事業への
不思議な期待

2014年12月26日、定例記者会見で生活扶助の一部プリペイドカード化モデル事業に関して語る大阪市長・橋下徹氏。意気込みは背景にも感じられる(大阪市のUstream録画より)

 昨年末2014年12月26日、大阪市長・橋下徹氏は「御用納め」の日に開催された定例記者会見において、生活保護の生活扶助(生活費相当分)を一部プリペイドカードで支給するモデル事業について発表した。橋下氏は、

「生活保護費の支給方法について、家計管理や金銭管理が必要な方への支援ツール、自立支援の一ツールとしましてプリペイドカードによる生活保護費の支給をモデル的に実施します」

 と述べ、現状の問題点を、

1.金銭管理等の各種生活支援を必要とする生活保護利用者、とりわけ単身高齢者が増加
2.2013年12月に生活した改正生活保護法で、収入・支出その他生計の状況を適切に把握することが受給者の責務と位置づけられた
3.経済的に自立していくためには家計を把握することが肝要
4.ギャンブルや過度な飲酒等に生活費を費消し、自立に向けた生計、生活設計を立てることが困難な人の支援が必要

 と指摘した。

 橋下氏によれば、このモデル事業は、希望者に対して生活扶助のうち月当たり3万円をプリペイドカードで支給するものであるという。橋下氏はさらに、

「僕も弁護士時代に破産事件よく扱っていましたけども、家計がきちっと把握できないとですね、なかなかこう、生活の方がうまく成り立たないというような実態も見えてきました。生活保護者の方はそういう方々ばかりではありませんし、(略)こういう形できちっと自らの家計収支について記録をとりながら、それを把握することが自立支援につながるという人も(略)いますので、一度モデル事業実施して、実際にどういう形で自立支援につながるのか、しっかり検証もしていきたい」

 と述べ、今後、半年から1年程度のモデル事業に

「ちょっと全国初の取り組みでもありますので、一回チャレンジをしてみたい」

 と意欲を示す。

 会見する橋下氏のバックには、

「全国初! 生活保護費をプリペイドカードで支給<モデル事業>」

 という文字が踊っていた。