ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
生活保護のリアル みわよしこ

大阪市の生活保護費プリペイドカード化は有害無益

犠牲になる生活保護当事者のプライバシーに配慮せよ
――政策ウォッチ編・第92回

みわよしこ [フリーランス・ライター]
【政策ウォッチ編・第92回】 2015年1月23日
1
nextpage

2014年12月26日、大阪市長・橋下徹氏は、生活保護の生活扶助(生活費相当分)を一部プリペイドカードで支給するモデル事業について発表した。賛否とも大きな反響を呼んでいるこのモデル事業は、どのような問題を解決すると期待されているのだろうか? その期待は、実現するだろうか? 語られていない弊害は、どのようなものだろうか?

大阪市「生活扶助プリペイドカード化」モデル事業への
不思議な期待

2014年12月26日、定例記者会見で生活扶助の一部プリペイドカード化モデル事業に関して語る大阪市長・橋下徹氏。意気込みは背景にも感じられる(大阪市のUstream録画より)

 昨年末2014年12月26日、大阪市長・橋下徹氏は「御用納め」の日に開催された定例記者会見において、生活保護の生活扶助(生活費相当分)を一部プリペイドカードで支給するモデル事業について発表した。橋下氏は、

 「生活保護費の支給方法について、家計管理や金銭管理が必要な方への支援ツール、自立支援の一ツールとしましてプリペイドカードによる生活保護費の支給をモデル的に実施します」

 と述べ、現状の問題点を、

1.金銭管理等の各種生活支援を必要とする生活保護利用者、とりわけ単身高齢者が増加
2.2013年12月に生活した改正生活保護法で、収入・支出その他生計の状況を適切に把握することが受給者の責務と位置づけられた
3.経済的に自立していくためには家計を把握することが肝要
4.ギャンブルや過度な飲酒等に生活費を費消し、自立に向けた生計、生活設計を立てることが困難な人の支援が必要

 と指摘した。

 橋下氏によれば、このモデル事業は、希望者に対して生活扶助のうち月当たり3万円をプリペイドカードで支給するものであるという。橋下氏はさらに、

 「僕も弁護士時代に破産事件よく扱っていましたけども、家計がきちっと把握できないとですね、なかなかこう、生活の方がうまく成り立たないというような実態も見えてきました。生活保護者の方はそういう方々ばかりではありませんし、(略)こういう形できちっと自らの家計収支について記録をとりながら、それを把握することが自立支援につながるという人も(略)いますので、一度モデル事業実施して、実際にどういう形で自立支援につながるのか、しっかり検証もしていきたい」

 と述べ、今後、半年から1年程度のモデル事業に

 「ちょっと全国初の取り組みでもありますので、一回チャレンジをしてみたい」

 と意欲を示す。

 会見する橋下氏のバックには、

 「全国初! 生活保護費をプリペイドカードで支給<モデル事業>」

 という文字が踊っていた。

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
ビジネスプロフェッショナルの方必見!年収2,000万円以上の求人特集
ビジネスプロフェッショナルの方必見!
年収2,000万円以上の求人特集

管理職、経営、スペシャリストなどのキーポジションを国内外の優良・成長企業が求めています。まずはあなたの業界の求人を覗いてみませんか?[PR]

経営課題解決まとめ企業経営・組織マネジメントに役立つ記事をテーマごとにセレクトしました

クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR

経営戦略最新記事» トップページを見る

注目のトピックスPR

話題の記事

みわよしこ [フリーランス・ライター]

1963年、福岡市長浜生まれ。1990年、東京理科大学大学院修士課程(物理学専攻)修了後、電機メーカで半導体デバイスの研究・開発に10年間従事。在職中より執筆活動を開始、2000年より著述業に専念。主な守備範囲はコンピュータ全般。2004年、運動障害が発生(2007年に障害認定)したことから、社会保障・社会福祉に問題意識を向けはじめた。現在は電動車椅子を使用。東京23区西端近く、農園や竹やぶに囲まれた地域で、1匹の高齢猫と暮らす。日常雑記ブログはこちら


生活保護のリアル みわよしこ

急増する生活保護費の不正受給が社会問題化する昨今。「生活保護」制度自体の見直しまでもが取りざたされはじめている。本連載では、生活保護という制度・その周辺の人々の素顔を知ってもらうことを目的とし、制度そのものの解説とともに、生活保護受給者たちなどを取材。「ありのまま」の姿を紹介してゆく。

「生活保護のリアル みわよしこ」

⇒バックナンバー一覧