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経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層

急上昇する中国株価のきな臭さ
読めないバブル崩壊のマグニチュード

――熊野英生・第一生命経済研究所 経済調査部 首席エコノミスト

熊野英生 [第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト],森田京平 [バークレイズ証券 チーフエコノミスト],高田創
【第174回】 2015年6月10日
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上海株の異常な上昇基調。投機マネーの暴走、バブル崩壊、中国経済減速ともなれば、日本経済が被るリスクは計り知れない

 2015年の日本の金融市場にとって最大のリスクは、FRBの年内利上げと並んで、中国株リスクかもしれない。

 上海総合指数は、5000ポイントを超えて、対前年比2.5倍である。2014年12月頃から急上昇し始めた株価は、今年の3月以降はさらに加速度を増している。その一方で、危険なくらいに変動率(ボラティリティ)が高い。5月28日には前日比▲6.5%は下落したが、5営業日で終値は元に戻った(図表1参照)。▲6.5%と言えば、株価20000円のときに▲1300円の下落に相当する。6月4日は、寄り付きから一時▲5.4%下落した後、+6.4%まで上昇して高値引けとなった。現在の株価は、2007年のピーク(6092.057)に迫ろうとしている(図表2参照)。

 変動率の高さは、投機的取引に参加する投資家たちが、他者に同調して売買を繰り返すことによって生じる。個々の投資家が高い期待収益率を望むほど、値動きがリスク愛好的に変わっていき、変動率の高さを魅力的だと錯覚する。こうした上昇局面がずっと続くとは考えにくい。

投機マネーの暴走も?
金融緩和のひずみ

 上海総合指数の上昇は、減速している中国経済の成長率とは対称的である(図表3参照)。むしろ景気テコ入れのために、中国人民銀行が2014年11月21日以降、金融緩和に動いたことに反応している。11月以降の金融緩和策は、預金準備率の引き下げ、追加利下げと短期間で5回も打ち出されている。

 「新常態」(ニューノーマル)の達成のため、金融緩和が必要だとしても、金融緩和に反応して投機マネーが暴走すると、かえって中国株の値動きがコントロールできなくなるように思える。

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熊野英生 [第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト]

くまの・ひでお/第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト。 山口県出身。1990年横浜国立大学経済学部卒。90年日本銀行入行。2000年より第一生命経済研究所に勤務。主な著書に『バブルは別の顔をしてやってくる』(日本経済新聞出版社)など。

森田京平 [バークレイズ証券 チーフエコノミスト]

もりた・きょうへい/1994年九州大学卒業、野村総研入社。98年~2000年米ブラウン大学大学院に留学し、経済学修士号を取得。その後、英国野村総研ヨーロッパ、野村證券金融経済研究所経済調査部を経て、08年バークレイズ・キャピタル証券入社。日本経済および金融・財政政策の分析・予測を担当。共著に『人口減少時代の資産形成』(東洋経済新報社)など。2010年7月より、参議院予算委員会内に設置された「財政再建に向けた中長期展望に関する研究会」の委員を務めている。

 


経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層

リーマンショック後の大不況から立ち直りつつあった日本経済の行く手には、再び暗雲が立ち込めている。留まることを知らない円高やデフレによる「景気腰折れ不安」など、市場に溢れるトピックには、悲観的なものが多い。しかし、そんなときだからこそ、政府や企業は、巷に溢れる情報の裏側にある「真実」を知り、戦略を立てていくことが必要だ。経済分析の第一人者である熊野英生、高田創、森田京平(50音順)の4人が、独自の視点から市場トピックの深層を斬る。

「経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層」

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