なぜ肝心なときに失敗してしまうのか、なぜ幸せを自ら崩壊させてしまうのか……。あなたには、そんな傾向はないだろうか? 実はこれらはすべて思い込みからなる「人生脚本」のせいだと語るのは、『人生の99%は思い込み』の著者である心理学者の鈴木敏昭。
これまで人生脚本について解説を続けてきたが、そもそも人生脚本を構成している思い込みの正体とは何か? 改めて、思い込みの定義に立ち返る。

脚本を書き上げる前提となった
「思い込み」

「一流企業に入れば安泰」も<br />「お金持ちになれば幸せ」もただの思い込み

 人は幼少期の「禁止令」などによって、人生や世界に対する「基本的な構え」をつくり出し、勝手に「自分はこういう人生を歩むのだろう/歩むべきだ」という「人生脚本」を書き上げてしまう。
 そして、その人生脚本を遂行するための「ゲーム」に参加することになる。

 よって、幸せになるという脚本を持ち、幸せになるゲームを続けている人は問題ないが、不幸になる脚本を持ち、日々不幸になるゲームを続けている人は、意識的には「幸せになりたい」と願っていても、自然に不幸の道へと突き進んでしまうのである。この人生脚本の力は強力で、変えようと思ってすぐに変えられるようなものではない。
 やはりここで気になるのは、そうしてできあがった人生脚本は書き換えられるのか?ということだろう。結論から言えば、100%とはいえないが、変えることは可能である。

 そもそも禁止令によって「こうしなければならない」「こうあるべきだ」というのは、幼少期に私たちが勝手に抱いた「思い込み」である。誰も「そうならねばならない」とは言っていない。仮に親や教師が「こうあるべきだ」と言ったところで、それに従うかどうかだって、その人次第なのだ。つまり、従うと決めた時点で、「親や教師は正しい」という思い込みに囚われていると言えよう。
決まりかけた人生を変え、脚本に支配された人生を変えたいと願うのであれば、まずそれを成り立たせている「思い込み」を外すことが必要なのだ。