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組織の不調は社員を枯らす!職場の不快感に効く「メンタル・マネジメント」

良い大学、良い会社、良い結婚で生きていけるのか?
「堤防型社会」で負ける人、荒波に揉まれて勝つ人

――処方箋⑫“籍”を持つことで安心せずに“職人”の行動規範を持て

渡部 幹 [モナッシュ大学マレーシア校 スクールオブビジネス ニューロビジネス分野 准教授]
【第12回】 2012年11月14日
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「同期たちに会社は任せられない」
大手商社社員が滲ませる深い危機感

 「今の会社に来る前は、僕はベンチャーのソフトウェア会社にいました。小さな会社で、いつ潰れてもおかしくないという状況で仕事をしていました。もちろん、給料やステイタスはさすがに今の会社の方が上ですが、同僚の優秀さというか、ヤル気やプロ意識みたいなものは、前の会社の方が圧倒的に上でした」

 数年前、当時31歳の某大手商社社員にインタビューしたときの言葉だ。彼はその後こう続ける。

 「なんか、新卒でうちの会社に入った人たちは、そりゃ優秀なんだけど、社員バッジと名刺持ってりゃ満足っていう感じで。仕事終わった後の飲み会で、自分が仕事の話をしたら『飲み会で仕事の話は止めようよ』って言われてしまって。むしろ、世代が上の人たちと飲んでる方が仕事の話できるし、楽だなって思って、同期の飲み会にはあまり行かなくなってしまいました」

 インタビューの最後に彼が言ったのは、

 「正直、この同期たちにこの会社の将来を任せられるとは、思わないです」

 というセリフだった。日本を代表する某一流企業での話である。

 また、筆者が以前勤めていた某大学でのことだ。米国の大学で博士号を取り、その後国際的に活躍していた同僚が、ある日ポツリとこう言った。

 「うちの大学の学生は、入ってくるときはハーバード、スタンフォードクラスの優秀さだ。でも出ていくときには、ボンクラになってるんだよ」

 日本の大学教育の質の低さは、言うまでもない。大学の世界ランキングにおいて、日本の大学はトップ500の中にそこそこ多く名を連ねているが、いずれも「教育レベル」の項目では点数が低い。他の部分で補っているため、何とかランキング内に入っているという状態だ。

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渡部 幹(わたべ・もとき)
[モナッシュ大学マレーシア校 スクールオブビジネス ニューロビジネス分野 准教授]

UCLA社会学研究科Ph.Dコース修了。北海道大学助手、京都大学助教、早稲田大学准教授を経て、現職。実験ゲームや進化シミュレーションを用いて制度・文化の生成と変容を社会心理学・大脳生理学分野の視点から研究しており、それらの研究を活かして企業組織にも様々な問題提起を行なう。現在はニューロビジネスという大脳生理学と経営学の融合プロジェクトのディレクターを務めている。代表的な著書に『不機嫌な職場 なぜ社員同士で協力できないのか』(共著、講談社刊)。その他『ソフトローの基礎理論』(有斐閣刊)、『入門・政経経済学方法論』、『フリーライダー あなたの隣のただのり社員』 (共著、講談社)など多数。


組織の不調は社員を枯らす!職場の不快感に効く「メンタル・マネジメント」

職場で「不快感」を訴える社員が急増している。成果主義的な評価制度を導入する企業が増えたことにより、チームワークよりも自分の業績を重視する社員が増え、「ギスギス職場」が生まれているからだ。一方で、年功序列と終身雇用が崩壊しつつある職場では、職場の「世代間ギャップ」もかつてなく広がっている。こうした職場は結束やコミュニケーションを失い、社員の不快感は増していく。職場の不快感を取り除くには、制度的な「仕組み」を導入するだけでは不十分だ。部下1人1の「心」に効く、メンタル・マネジメントの方法論を上司が体系的に理解しておく必要がある。この連載では、日本の職場で起こりがちな「不快感」の臨床例を毎回わかりやすく紹介し、それを解決するメンタル・マネジメントの方法論を、社会心理学的な視点を織り交ぜながら、詳しく解説していく。

「組織の不調は社員を枯らす!職場の不快感に効く「メンタル・マネジメント」」

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