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ニューロビジネス思考で炙り出せ!勝てない組織に根付く「黒い心理学」 渡部幹

行動科学・脳科学でみる男女脳
この違いをビジネスで生かせるか

渡部 幹 [モナッシュ大学マレーシア校 スクールオブビジネス ニューロビジネス分野 准教授]
【第27回】 2015年6月25日
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優秀なビジネスパーソンは
男女両方の視点を兼ね備えている

 本連載「黒い心理学」では、ビジネスパーソンを蝕む「心のダークサイド」がいかにブラックな職場をつくり上げていくか、心理学の研究をベースに解説している。ただ、今日のトピックは「ダークサイド」というよりは、むしろ相互無理解といった方が正しいかもしれない。

「女性をどれだけ管理職に登用するか」ばかりを考えていても、真のダイバーシティ・マネジメントにはつながらない。男女の違いを正しく認識し、男女両方の視点を持つことができるだろうか

 グローバル化が進むにつれ、ダイバーシティ・マネジメントの重要性が増している。ダイバーシティとは「多様性」を意味する。

 ダイバーシティ・マネジメントとは人種、性別、宗教、価値観、慣習などの違う人々が、ともにビジネスを行うためのソリューションを考えることであり、もっと進んで、そのようなダイバーシティを「強み」としてマネジメントに応用するにはどうすべきかを考えることでもある。

 海外と比較すると、一部を除けば、日本企業の多くは、まだ多様性は低い。だが、これからの時代を考えるにあたり、多様性を考慮したマネジメントに取り組んでいかなくてはならないのは明白だ。

 多様性を考えるとき、例えば欧米ならば、人種、性別、宗教が主となるが、日本では、まず性別がダイバーシティ・マネジメントの最初の課題となるだろう。現政権でも、女性の社会進出率を上げることを目標としているし、シングルマザーや独身の女性が増えているトレンドを考慮すると、女性をいかにビジネス戦力として活用するかについて真剣に考える必要があるだろう。

 だが、日本の組織は「女性を活かす」マネジメントについて、まだ多くのアイディアが必要だと筆者は考えている。なぜなら、このような議論になると、まず「いかに積極的に女性を管理職に登用するか」という短絡的な話に矮小化されてしまうからだ。

 その前に、女性と男性の意思決定の違いや、得手不得手について、科学的な知識を踏まえて吟味し、仕事の内容やモチベーションの維持について考えた上で、人事制度の改革も含めて議論するべきだろう。

 だが、実際には「女性は管理職に向かない」「女性のほうがモチベーション維持が難しい」などの偏見が、特に一定年齢以上の男性に根強いのも事実だ。そうした男性は、「女性の視点」をくみ取ることができない。

 「女性の視点」をくみ取ることができる男性は、女性に適した職や仕事内容をアサインすることに長けている。少なくとも筆者の出会った「若くて優秀」なビジネス―パーソンは、女性男性に関わらず、男性的視点と女性的視点の両方を兼ね備えている。

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渡部 幹(わたべ・もとき)
[モナッシュ大学マレーシア校 スクールオブビジネス ニューロビジネス分野 准教授]

UCLA社会学研究科Ph.Dコース修了。北海道大学助手、京都大学助教、早稲田大学准教授を経て、現職。実験ゲームや進化シミュレーションを用いて制度・文化の生成と変容を社会心理学・大脳生理学分野の視点から研究しており、それらの研究を活かして企業組織にも様々な問題提起を行なう。現在はニューロビジネスという大脳生理学と経営学の融合プロジェクトのディレクターを務めている。代表的な著書に『不機嫌な職場 なぜ社員同士で協力できないのか』(共著、講談社刊)。その他『ソフトローの基礎理論』(有斐閣刊)、『入門・政経経済学方法論』、『フリーライダー あなたの隣のただのり社員』 (共著、講談社)など多数。


ニューロビジネス思考で炙り出せ!勝てない組織に根付く「黒い心理学」 渡部幹

この連載の趣旨は、ビジネスマンのあなたが陥っている「ブラック」な状況から抜け出すための「心」を獲得するために、必要な知識と考え方を紹介することにある。社員を疲弊させる企業が台頭する日本社会では、「勝てない組織」が増えていく。実はその背景には、マクロ面から見た場合の制度的な理由がある一方、日本人の持つ国民性や心理もまた、重要な要因として存在する。そうした深いリサーチが、これまで企業社会の中でなされてきただろうか。本連載では、毎回世間で流行っているモノ、コト、現象、ニュースなどを題材として取り上げ、筆者が研究する「ニューロビジネス」的な思考をベースに、主に心理学や脳科学の視点から、その課題を論じていく。あなたは組織の「黒い心理学」を、解き明かすことができるか。

「ニューロビジネス思考で炙り出せ!勝てない組織に根付く「黒い心理学」 渡部幹」

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