少子化なのに、ランドセル市場が伸び続ける謎を解く昔は赤か黒しかなかったランドセルが、今や色もデザインも豊富に
写真提供:ふくふくらんど

 来春の新入学のランドセル商戦に異変が起きています。

 5月のゴールデンウィークを前にして、流通業各社の大型店舗でのランドセルの品揃えがほぼ出揃ったのです。私もいくつものテレビ番組から取材を受けましたが、各局からの質問は一つです。

「少子化の時代に、なぜランドセルがこんなに注目されているのですか?」

 ランドセル市場は確かにここ数年、盛り上がりを見せている市場の一つです。しかし、ランドセルは職人さん手作りの商品もいまだに多い、アナログで昭和の香りのする小さな市場です。この市場がなぜ今、注目されているのか…。

 2012年のオープン以来、集客を伸ばし、今や全国から「ランドセルを買うならココ!!」と注目されている専門店があります。今回は、同店の取り組みを通じて、少子化の時代に「売れる企業」になるためのヒントを掴みたいと思います。

毎年早まるランドセル商戦

「ランドセルは4月に使うものだから、年明けの2~3月に用意すればいいか」

 と考える親は、日本にはもういないでしょう。年明けには「欲しいランドセルはもうない」ことをみなさん知っているからです。

 ランドセルの販売ピークは、「8月」です。

 理由は後述しますが、8月にはたくさんのランドセルがすでに「売れて」しまい、小売側も受注の大半を終えてしまうことが多くなるのです。

 今年のゴールデンウィーク。盛り上がったのは海外旅行や外国人観光客による「爆買い」のインバウンド消費ばかりではありませんでした。百貨店やGMS(※ゼネラルマーチャンダイズストア、総合スーパー)各社のランドセル売場に、人がどっと押しかけたのです。なぜなら、都心の百貨店や大手GMSには、例年より2~3ヵ月前倒しでランドセル売場が作られ、ゴールデンウィークには本格的な販売を開始したからです。