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野口悠紀雄 新しい経済秩序を求めて

ようやく始まったビットコイン・ビジネスが
生み出す可能性

野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]
【第18回】 2015年6月25日
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 2014年2月のマウントゴックスの破綻で、日本のマスメディアは、あたかもビットコインそのものが破綻したかのような報道を行なった。もちろん、これは誤りである(野口悠紀雄『仮想通貨革命』第1章の2参照)。

 これら一群の報道によって日本で低下したビットコインへの関心が、最近、再び高まってきたように思える。

日本でもやっと高まってきた
ビットコインへの関心

 2013年の暮れ頃にビットコインへの関心が高まったときには「物珍しさ」が先に立っていた。しかし、最近では、ビットコインの将来性を理解した上で、それを実際に活用しようとの意識が芽生えているように見受けられる。日本でもようやくビットコイン・ビジネスが始まり、関連産業が成長する可能性が出てきた。

 楽天の三木谷浩史社長は、14年7月、福岡市内の講演で、ビットコインを決済手段として検討していると発言して、注目を集めた。

 楽天は、15年2月に、楽天金融カンファレンス2015「ビットコインの台頭」を開催した。

 『日本経済新聞』(電子版、15年1月28日)が報じたところでは、リクルートホールディングスが、傘下の投資会社を通じて、ビットコインの売買を手がけるベンチャー企業「ビットフライヤー」に出資した。同社の技術を活用して、ビットコインを使った決済サービスや、ビットコインの情報サイト開設といった関連事業の創出を目指すとされる。

 『日経ヴェリタス』(14年9月14日)によると、ビットコインの周辺業務を行なうベンチャー企業がいくつか誕生している。

 「コインチェック」が提供するサービスでは、客はビットコインで代金を支払うが、店は売り上げを円で受け取れる。

 「コインパス」は、ビットコインだけでなく、リップルなど他の仮想通貨も使えるネット決済サービスを開発している。

 ただし、これまでのところ、日本でビットコインを利用する環境は整備されていない。ビットコイン・エクチェンジ・ガイドは、世界の両替所の格付けをしているのだが、そこで評価されているのは、Coin.MX、コインベース(Coinbase)、ビットスタンプ(Bitstamp)、クラーケン(Kraken)、BTC、クリプトシー(Cryptsy)だ。ここで評価されている両替所が扱っているのは、米ドルが中心である。有利な条件で日本円との両替が行なわれているとは言い難いのが現状だ。

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野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]

1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、2011年4月より早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。主な著書に『情報の経済理論』『財政危機の構造』『バブルの経済学』『「超」整理法』『金融緩和で日本は破綻する』『虚構のアベノミクス』『期待バブル崩壊』等、最新刊に『仮想通貨革命』がある。野口悠紀雄ホームページ

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野口悠紀雄 新しい経済秩序を求めて

アメリカが金融緩和を終了し、日欧は金融緩和を進める。こうした逆方向の金融政策が、いつまで続くのだろうか? それは何をもたらすか? その先にある新しい経済秩序はどのようなものか? 円安がさらに進むと、所得分配の歪みはさらに拡大することにならないか? 他方で、日本の産業構造の改革は遅々として進まない。新しい経済秩序を実現するには、何が必要か?

「野口悠紀雄 新しい経済秩序を求めて」

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