ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
通貨革命か、それとも虚構か?「ビットコイン」を正しく理解する 野口悠紀雄

ビットコインの送金と受け取りはどのようになされるか
――マウントゴックス事件で、それが損なわれたわけではない

野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]
【第4回】 2014年3月13日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage

 週刊文春2014年3月13日号は、「ダイヤモンド・オンライン」(DOL)の当連載が、「言い訳」であるとの記事を掲載した。これについて、ここで私の見解を述べたい。

 一般に「言い訳」とは、当該者が悪事を働いたか、あるいは誤った言明をなした場合において、釈明のために根拠薄弱な自己弁護をすることを言う。

 しかし、言うまでもないことであるが、私は何ら悪事を働いていない。また、DOLにおいて「言い訳」が必要とされるような誤った解説をしたわけでもない。私は、DOLおよび私自身の信頼を維持するために、さまざまな機会を捉えて、このことを説明する必要があると考えている。

 ビットコインの理解が容易でないことは事実である。とりわけ、特定の管理主体が存在しないシステムが円滑に機能しているという事実は、多くの人にとって理解しがたいことだ。

 私は同誌のインタビューに応じて、時間を割き、懇切丁寧に説明を行なった。それでもまだ理解できない点が残ったのであれば、納得できるまで質問することが、真摯な取材に求められるところである。そうした努力を怠り、私の説明を一方的に「言い訳」と切り捨てるのは、ジャーナリストの倫理に悖る行為であると言わざるをえない。

 なお、申し添えれば、上記週刊文春記事の後半にある説明は、誤りである。

 第1に、取引所が送金を媒介するという説明は、誤りだ。ビットコインの取引は、取引情報を相手に送るのでなく、P2Pネットワークに直接「放送」することによって行なわれる。このメカニズムの概要は、本連載の第1回で説明した。

 第2に、ビットコインが従来の電子送金と同じ構成だとする説明も誤りだ。ビットコインには、電子マネーの場合のような中央集権的管理主体がない。ビットコインと従来の電子マネーの違いについては、本連載の第2回で説明した。これらについては、以下でも述べるので、参照していただきたい。

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]

1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、2011年4月より早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。主な著書に『情報の経済理論』『財政危機の構造』『バブルの経済学』『「超」整理法』『金融緩和で日本は破綻する』『虚構のアベノミクス』『期待バブル崩壊』等、最新刊に『仮想通貨革命』がある。野口悠紀雄ホームページ

------------最新経済データがすぐわかる!------------
『野口悠紀雄 使える!「経済データ」への道』


通貨革命か、それとも虚構か?「ビットコイン」を正しく理解する 野口悠紀雄

インターネット上で使われている仮想通貨である「ビットコイン」にに対する関心が、急速に高まっている。この連載では、「ビットコインが何をもたらすにしても、それは通貨史上の大きな革命であるばかりでなく、まったく新しい形の社会を形成する可能性を示した」との認識に立ち、ビットコインの仕組みを解説し、それがもたらしうるものについて論じる。

「通貨革命か、それとも虚構か?「ビットコイン」を正しく理解する 野口悠紀雄」

⇒バックナンバー一覧