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石川和男の霞が関政策総研

米国の専門家が評価
「柏崎刈羽原発の安全性は世界最高水準」

石川和男 [NPO法人 社会保障経済研究所代表]
【第49回】 2015年7月6日
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柏崎刈羽原発(写真)は、現在IAEA(国際原子力機関)が安全対策を調査中である

 安全・危機管理コンサルタントのチャールズ・カスト博士(Dr.Charles Casto)が6月29日、東電・柏崎刈羽原発を視察した。カスト博士は、2011年3月の福島第一原子力発電所事故の直後に、米国・原子力規制委員会(NRC)を代表して来日し、事故対応に協力した人物である。

 同氏は、数年前までBWR型原子炉の運転に従事。福島事故対応の任務の際、ルース駐日大使に対して直接報告する立場にあった。11ヵ月間にわたる福島事故対応の任務の後、国際原子力機関(IAEA)のレビューチームに加わった時期もある。

 6月30日、カスト博士と懇談させていただく機会を得た。福島事故を踏まえた柏崎刈羽原発の安全対策レベルや、日本の原子力規制の在り方について御意見を伺った。以下、聞き手は筆者である。

スリーマイル島事故では
「全原発を止めろ」とはならなかった

──福島事故は、発電中ではなく、停止中の事故だった。だが日本では、政治もマスコミも、“発電しているから危険、停止していれば安全”という空気となっているせいか、全ての原発は定期検査で停止した後、今もまだ発電を再開していない。

米国では、1979年のスルーマイル島(TMI)事故後、事故炉以外は発電を続けていた。旧ソビエト連邦では、1986年のチェルノブイリ事故後、事故炉以外は発電を続けていた。米ソと比較すると、原発事故後の対処をめぐる日本の特異性が際立っていると思うのだが、これについてどう思われるか。

 TMI事故もチェルノブイリ事故も、運転員による運転ミスが引き起こした事故。米国では前に別の原子炉で似たような事象は発生していたのだが、安全に復旧した。その事象発生からの教訓を生かせなかったことや、運転員が十分な訓練を受けていなかったことが、TMI事故に繋がった。原因は、プラントの設計・設備面でのものではなく、人為的ミスであった。福島事故は、震災時に運転員が最善の対応をしたので、人為的ミスではなかった。むしろ、プラントの設計が関係していると思う。

 TMI事故の際は、今の日本のように、国中の原発を停止しろ、などという声はなかった。ミスをした運転員の責任が追及されたし、TMIを保有していたメトロポリタン・エジソン社が悪者扱いされたというのはあった。しかし、電力業界全体が悪者扱いされたことはない。当時は、1973年のオイルショックの記憶が新しく、しかも石油価格が高かったので、原発を止めようというようなことにはならなかった。米国民はエネルギー価格には敏感だ。

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石川和男 [NPO法人 社会保障経済研究所代表]

1989年3月東京大学工学部卒業。同年4月通商産業省(現経済産業省)入省。資源エネルギー庁、生活産業局、環境立地局、産業政策局、中小企業庁、商務情報政策局、大臣官房等を歴任。2007年3月経済産業省退官。08年4月東京女子医科大学特任教授(~10年3月)。09年1月政策研究大学院大学客員教授。09年4月東京財団上席研究員。11年9月NPO法人社会保障経済研究所代表。ツイッター:@kazuo_ishikawa ニコ生公式チャンネル『霞が関政策総研』、ブログ『霞が関政策総研ブログ』


石川和男の霞が関政策総研

経済産業省の元官僚として政策立案の現場に実際に関わってきた経験と知識を基に、社会保障、エネルギー、公的金融、行政改革、リテール金融など、日本が抱えるさまざまな政策課題について、独自の視点で提言を行なっていく。

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