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小川たまかのダイバーシティ・ホンネとタテマエ

自分が弱者であると口にする勇気

小川たまか [編集・ライター/プレスラボ取締役]
【第5回】 2015年7月8日
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成功企業の例を知って、
あなたが思うことは?

ランクアップという会社がある。ダイヤモンドオンラインでも「ほぼ全員定時退社で年商約60億円稼ぐ会社の秘密」という連載を行っていたので、ご存じの方は多いかもしれない。

「育児と仕事の両立」はなぜ悲観的に語られるのか

 私も取材したことがあるのだが、40人ほどいる社員のほとんどが女性、約半数がワーキングマザー。常に数人が産休・育休を取得している。忙しいに違いないのに、岩崎裕美子社長はいつも笑顔だ。最初にお会いしたとき、私はランクアップで行われるイベントに飛び入りで取材しに来た一記者に過ぎなかったのに、時間を取って熱心に語ってくれた。「女性がいつ結婚、出産してもいい会社をつくりたかった」と明るく語る姿に強さを感じた。

 「働く女性と出産・育児事情」。本当は子育て家庭と仕事のあり方という観点で語られる方が正しいのだろうが、まだまだ「育児と仕事の両立」は女性の課題として語られることが多い。そして悲観的に語られることも多い。

 昨年、2014年は政府が「輝く女性」という言葉を使ったこともあり、良くも悪くも働く女性たちに関する記事を書くとそのたびに反応が大きかった。ニュースサイトでも関連記事をよく目にしたと思う。

 だが、当の女性たちを安心・納得させることができるような前向きな記事がその中にどのぐらいあっただろうか。さまざまな取材しながら、私はそのことが心配だった(実際に取材してみても出てくるのは不安要素が多いから仕方ないと仕方ないのだが)。だから、ランクアップを取材したときに感じたのは、「できないことはないんだ」と思えることの喜びだった。

 ランクアップでは時短勤務の社員とそうではない社員の間にできる「溝」をなくすために、そもそも長時間労働にならないようにしている。どれだけの時間働くかよりも、実績で評価を行っている。もちろん、全ての企業がそのような取り組みを行えるわけではない。ただし、成功例と言える企業が一つあるのとないのとでは違う。

 悲観的な人は言うだろう。「数十人規模の会社だからできること」「うちは業種が違うから真似できない」「私の上司は理解がないから」などなど。そりゃあ、他の企業の取り組みを何から何まで真似することなんてできない。

 でも、一人一人が今いる状況の中で工夫してみようと考えることはできる。ランクアップだって試行錯誤して今の状況をつくりあげた。「決定権のないヒラ社員には何もできない」。そうだろうか? 言わなければ状況は変わらない。成功例を見て行うべきことは、羨むことでも「自分とは違う」と諦めることでもなく、「自分ならどういう工夫が可能か」を考えることだろう。

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小川たまか [編集・ライター/プレスラボ取締役]

1980年・東京品川区生まれ。フリーランスとして活動後、2008年から下北沢の編集プロダクション・プレスラボ取締役。働き方、教育、ジェンダー、性犯罪などを取材。ツイッターアカウントは@ogawatam


小川たまかのダイバーシティ・ホンネとタテマエ

今、注目度が高まっている「ダイバーシティ」という概念。多様化・多様性に対して、賛同する意見が多い一方で、否定的な見方があるのも事実。特に日本企業内で取り入れられる場合に、「女性の働き方」の代名詞でも使われることが多くなっている。何か問題が起こったとき、男性を始め、当事者以外の人は実はどう感じているのか?そこから見える日本社会の姿とは?
「ダイバーシティ」をタテマエだけでなく、多彩な角度・観点から本音で論じる。

「小川たまかのダイバーシティ・ホンネとタテマエ」

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