今から数えて35年前の中国はまだ閉ざされた、自信のない国だった。当時、ようやく勇気を出して呼べるようになったスローガンの一つが「窓を開けて世界を見る」といったものだった。その窓は深センなどの経済特区であった。

 35年の歳月があっという間に過ぎ去った。香港という大木の下にある草のような存在だった深センがいつの間にか、GDPにおいては香港を抜いた。ニューヨーク、ロンドンと並んで世界三大金融センターの一つと称された香港は、川をひとつ隔てた漁村だった新興都市・深センに大きく引き離されてしまったのだ。

 深センのこの35年間の変化を確認するために、ここ1年間の中国語メディアの報道をまとめてみることにした。

一人あたりGDPが台湾以上
中国全体でも突出した成長率

深センはいまや中国第3に都市に上り詰める勢い

 深センのその変化にいち早く気付いたのは台湾だった。

 2014年8月、「台湾財訊」というメディアが「深センが台湾を打ち負かす」と題する記事を掲載した。内容は次の通りである。

 深センはこれまでずっと台湾をライバルとしており、「台湾を追い越す」という目標を隠そうともしていない。深センの2013年の一人あたりGDPは2万2000ドルで、台湾を抜いてアジア四小龍と肩を並べた。2000年の1人あたりGDPを見ると、深センはまだ台湾の3分の1に過ぎなかったが、いまや台湾のそれを超えるまで急速に成長してきた。一方、同時期の台湾の成長はスピードは深センの後塵を拝している。

 2014年9月、「経済観察報」という中国本土のメディアが、2013年、深センが研究開発のために投じたお金がGDPに占める割合は4%に達した、という事実に目を向けた。