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アマデウスたち

市川亀治郎
深い古典理解で伝統の再創造に挑む

週刊ダイヤモンド編集部
【第98回】 2009年11月17日
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写真 加藤昌人

 歌舞伎の華である女形として頭角を現した。その「端正な芸格」は海外でも評価が高く、2006年のロンドン公演は、英国最高峰のローレンス・オリヴィエ賞最優秀ダンス作品賞にノミネートされたほどだ。

 父は四代目市川段四郎、「スーパー歌舞伎」で伝統の破壊と創造を試みた三代目市川猿之助を伯父に持つ。7歳で初舞台、10代の頃から父とともに伯父の一座に参加した。「伝統はDNAによって引き継がれるものなどではない。伝統的環境のなかで独自につくり上げるもの」。伝統はもはや、好奇心の対象なのだ。

 27歳で自主公演「亀治郎の会」を立ち上げた。「責任は大きいが、それも楽しい。ものづくりの過程に醍醐味がある」。08年の公演では「俊寛」と「京鹿子娘道成寺」で立役と女形の大役を鮮やかに演じ分けた。

 「歌舞伎を離れても、歌舞伎を学んでいる」。NHK大河ドラマ「風林火山」では武田晴信(後の信玄)を演じた。父・信虎役の仲代達矢らと「男臭い古典的時代劇」にこだわった。舞台版ではキャスティングや演出にも深くかかわり、スーパー歌舞伎張りの宙乗りや早変わりで観客をわかせた。

 大学で専攻した国文学、仏教書など自宅は数千冊の蔵書で溢れる。趣味の浮世絵収集では展覧会の解説を務めるほど造詣が深い。学究肌と進取の気質を併せ持つといわれる澤瀉(おもだか)屋の俊英。秋には初めての現代劇に挑む。

(ジャーナリスト・田原 寛)


市川亀治郎(Kamejiro Ichikawa)●歌舞伎俳優 1975年生まれ。80年「義経千本桜」の安徳帝で初お目見得、83年二代目市川亀治郎を名乗り初舞台。09年芸術選奨文部科学大臣新人賞受賞。

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