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先人の知恵に学ぶ
災害に強い土地・弱い土地の見抜き方

福和伸夫・名古屋大学減災連携研究センター長・教授に聞く

室谷明津子 [フリージャーナリスト]
2015年7月22日
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地震工学のスペシャリストであり、小泉政権のころから早期の耐震化を訴え、日本の防災・減災政策の先鞭をつけてきた福和氏。地震大国・日本の未来は「東京への一極集中」をいかに是正するかにかかっているという。(聞き手/フリージャーナリスト 室谷明津子)

昔からの「台地」が
最も安全

――福和先生は地震工学のスペシャリストとして最先端の防災・減災研究を行う一方、「自分たちが生活する地域の災害史を学ぶこと」が重要だと説いています。過去にどんな災害があったかって、意外と知らないものですね。

ふくわ・のぶお
1957年生まれ。名古屋大学減災連携研究センター長・教授。1979年名古屋大工学部建築学科卒業。1981年に同大学院修士課程を修了し、清水建設入社。1991年名古屋大学工学部助教授。先端技術共同研究センター教授、大学院環境学研究科教授、同副研究科長を経て現職。開発を手掛けた「触れて学ぶ耐震実験教材『ぶるる』」が2007年グッドデザイン賞新領域デザイン部門を受賞するなど、受賞多数。

 日本人は本当に自国の災害史を知りません。例えば江戸末期の1850年代には、東海地震と南海地震が32時間差でやってきて、翌年にマグニチュード7クラスの安政江戸地震があり、さらにコレラが流行してすさまじい数の人命が失われました。社会が混乱する中、坂本竜馬ら若者が台頭して、明治維新につながっていったのです。

 この時代はテレビドラマにしょっちゅう出てくるのに、災害があったことは描かれません。授業でもほとんど習いませんよね。災害史には貴重な教訓がたくさん残されているのに、もったいないことです。

――地域の歴史を知ることは、減災にどう役立ちますか。

 住む場所を選ぶときに、その土地の成り立ちや災害史を調べて参考にするのです。地盤は土が堆積して時間が経つほど固くなる。つまり、昔からある台地や丘陵といった場所は地盤が固くて安全です。土が堆積してからの歴史が浅い低地ほど地盤が軟らかく、特に川や海、ため池を人工的に埋め立てた土地が危ないのは言うまでもありません。

――東京だと、どの辺りを選ぶといいのでしょうか。

 古くから人が住んでいた武蔵野台地や、都心でも紀尾井町など高台になっている場所は地盤が固いと思っていいでしょう。反対に、かつての平川、日比谷の入り江だった場所などは危険です。

 直下型だった安政江戸地震では、今でいう大手町、丸の内、有楽町、日比谷、新橋、芝といった江戸から東側の埋め立て地の建築物がこぞって大きな被害を受けました。しかしいま、このあたりは大企業の集積地であるどころか、電力会社やガス会社の本社、気象庁、消防庁などインフラを支える施設が多く拠点を構えています。

 スカイツリーやオリンピックの開催予定地も、よくもあんなに地盤が軟らかい危険な場所を選んだなというのが、私から見た率直な感想です。

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室谷明津子 [フリージャーナリスト]

むろたに・あつこ/富山県生まれ。みずほ総合研究所での法人向けコンテンツ企画・制作を経て独立。国内市場が縮小する困難な時代に結果を出す経営者や、ビジネスの現場を多数取材。成熟化する日本の新しい社会の動き、そこで活躍するユニークな人々の取材も多い。


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