何とか見直しはできないのか──。今、内閣府の専門調査会で静かに進んでいる、ある法律の改正議論をめぐって、業界団体の見直しを求める働き掛けが活発化している。
7月に入ってから、楽天などの新興企業で成る新経済連盟をはじめ、企業法務の集まりの経営法友会らが相次ぎ意見書を提出。それまでにも新聞業界が出て、広告業界も動いている。
多種多様な業界が声を上げるのも、俎上に載せられているのが消費者を対象にした全てのビジネスに関わる「消費者契約法」であるからだ。2001年に施行された同法は、事業者と消費者の契約ルールを定めたもの。事業者が事実と異なることを伝えたり、大事な情報を伏せたり、「確実に値上がりする」と金銭契約を結んだりした場合に契約を取り消せる法律だ。
施行から10年たち、IT化や高齢化の進展で新たなトラブルが増えたため、昨年11月から見直し議論がスタート。来年の通常国会で改正案が提出される見込みだ。
実務上の影響が甚大
もちろん、事業者も消費者が救済される制度をつくることに異論はない。だが、今の議論のまま進むと、問題視されてこなかった取引にも実務上、多大な負担が伴う。
例えば、広告。それまで、チラシやパンフレットなどは同法の対象外であったが、今回から対象とされそうだ。すると金融商品のように重要事項を細かく記載した広告にしなければならなくなる。商品の表記に誤りが見つかれば、販売業者が返金対応を求められる。