人口密度が高い東京一帯では、
これから大変なことが起こる!

 具体的には、こういう事実がある。

 1986年に起こったソ連のチェルノブイリ原発事故の放射能汚染地帯となったベラルーシでは、ミンスク大学放射線化学研究所のエフゲニー・ペトリャーエフ教授が、事故が発生した翌年の1987年から1992年までに、11~70歳の一般死亡者の遺体300体を解剖して、放射能の被害を調査した。

 その結果、実に7割の遺体からホットパーティクルと呼ばれる「強い放射線を出す微粒子」を検出したのだ。

 このホットパーティクルは、セシウムではなく、いくつかの放射性物質の混合物から成っていた。したがって、ウランを主体として、プルトニウムやルテニウムなどの猛毒物が含まれている。吸いこんだ空気を通して、肺の深部や気管支に分布し、その粒子の数は、遺体一人あたり数百個~2万個前後にも達した。

 ホットパーティクルは、排出されることなく、死ぬまで肺にとどまり続ける。そのため、間違いなく癌を引き起こして、多くの人命を奪ってきたのだ。

 では2011年のフクシマ原発事故では、何が起こったのか? 

 内部が数千度の高温になった原子炉からは、同じようにウラン、プルトニウム、ルテニウムがガス化して、東日本全域の空気中を漂い、われわれがそれを吸いこまされたのである。

 事故当時、フクシマ原発が爆発した翌月に自動車で走行したエアーフィルターを取り出し、レントゲンフィルムに感光させた写真をみると、アメリカ北西部のシアトルではきれいだが、東京や福島市では、放射性の微粒子が大量に検出されていた。自動車が吸いこんだと同じ空気をわれわれが吸っていたのだから、体内にホットパーティクルが大量に取り込まれたのだ。

 この写真の上の赤い数字で示される通り、空間線量を測っても、シアトルと東京では、ほとんど変らないが、体内の細胞が受けた傷跡は、まったく異なるのだ。この傷跡が、いずれ動き出す。

 いや、もうすでに多くの人がその被害の渦中にある。
 次々と、亡くなった方の報告が届いている。まだ医学的な統計が出ていないだけである。
人口密度が高い東京一帯の首都圏では、これから、大変なことが起こる。