ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
China Report 中国は今

“環境の敵”ゴルフ場が習近平・腐敗撲滅の標的に

姫田小夏 [ジャーナリスト]
【第184回】 2015年7月31日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage

 6月、上海に在住する現地貿易会社日本法人の役員からこんな画像が送られてきた。上海のゴルフ場に掲げられた一枚の看板を撮影したものである。

Photo by Yukio Kubo

 「国家のゴルフ場に対する政策的調整を受け、当倶楽部は6月22日から暫く営業を停止します。ご不便をおかけ致しますがご了解ください」――

 写真のゴルフ場は「上海国際ゴルフカントリークラブ」。バブル崩壊とともに破綻した青木建設が1990年代初頭に開発した、当地きっての名門コースだ。また、800会員中日本法人は600会員と、現地の日本人にも馴染み深いゴルフ場のひとつである。

 地元メディアによれば、このゴルフ場を管轄する青浦区環境局が「上海市の飲用水の水源に立地する」とし、立ち退き命令を出したという。

 同役員は別のゴルフ場に向かったが、シンガポール資本の「上海太陽島ゴルフクラブ」も、台湾資本の「上海東方ゴルフクラブ」も同じような状況だったという。表向き「暫定的な営業停止」としているが、事実上の閉鎖である。

 筆者も電話取材を試みたが、上海太陽島は「営業停止状態がいつまで続くか自分たちにもわからない」と言い、上海国際に至ってはすでにスタッフも不在だった。

 北京でも続々とゴルフ場が閉鎖に追い込まれている。かつて北京に在住していた日本人N氏は、「私のホームコースだった十三陵にある『北京国際ゴルフクラブ』も、政府の手でフェアウェイが植樹されてしまった」と無念を訴える。

 このゴルフクラブは1986年に中日合資でスタートした、中国でも数少ない歴史あるコースだ。同年の開業式には全国人民代表大会常務委員長だった万里氏も出席したと言われている。

 中国全土には約660のゴルフコースがある。だが、そのすべてのゴルフ場がクローズになったわけではない。立ち込める不穏な空気に、ゴルファーの間では「ライセンスの有無か」「外資系への集中砲火では」との憶測も飛んだ。

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR
【デジタル変革の現場】

企業のデジタル変革
最先端レポート

先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

姫田小夏 [ジャーナリスト]

ひめだ・こなつ/中国情勢ジャーナリスト。東京都出身。97年から上海へ。翌年上海で日本語情報誌を創刊、日本企業の対中ビジネス動向を発信。2008年夏、同誌編集長を退任後、「ローアングルの中国・アジアビジネス最新情報」を提供する「アジアビズフォーラム」主宰に。語学留学を経て、上海財経大学公共経済管理学院に入学、土地資源管理を専攻。2014年卒業、公共管理修士。「上海の都市、ビジネス、ひと」の変遷を追い続け、日中を往復しつつ執筆、講演活動を行う。著書に『中国で勝てる中小企業の人材戦略』(テン・ブックス)、共著に『バングラデシュ成長企業 バングラデシュ企業と経営者の素顔』(カナリアコミュニケーションズ)。

 


China Report 中国は今

90年代より20年弱、中国最新事情と日中ビネス最前線について上海を中心に定点観測。日本企業の対中ビジネスに有益なインサイト情報を、提供し続けてきたジャーナリストによるコラム。「チャイナ・プラス・ワン」ではバングラデシュの動向をウォッチしている。

「China Report 中国は今」

⇒バックナンバー一覧