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社内プレゼンの資料作成術
【第8回】 2015年8月7日
著者・コラム紹介バックナンバー
前田鎌利

孫正義氏が「一発OK」を連発した社内プレゼン術
「採択率」を上げる、とっておきの方法

社内プレゼンはビジネスパーソン必須のスキル。ところが、多くの人が苦手ではないでしょうか?何度も却下されたり、差し戻しにあったり……。そこで、ソフトバンクで孫正義氏から「一発OK」を何度も勝ち取った著者が、秘伝の「社内プレゼンの資料作成術」を全公開。シンプルな資料で100%の説得力を生む、「超」実践的なノウハウをお伝えします!

選択肢があると、人は「選ぼう」とする

 採択率を上げる、とっておきの方法があります。
 2案を提案する方法です。課題解決のために考え尽くした人は、1つのアイデアにすべてを賭けたい気持ちになるものですが、あえて「A案」「B案」の2案を提示することを、私は強くおすすめします。

 なぜなら、人間というものは、選択肢が1つしかないと、「もっといいモノがあるかもしれない」と考える傾向があるからです。逆に、選択肢を示すと、そのなかから「よりよいモノを選ぼう」という思考が働きます(下図参照)。その結果、意思決定がポジティブな方向に働くことが多いのです。

 また、1案だけではなく2案示すことによって、徹底的に考え抜いた提案であることをアピールすることにもなります。

 

「メリット・デメリット」を1枚のスライドにまとめる

本連載第4回以降で例示している「接客接遇研修」を提案するケースであれば、A案として「店長研修の実施」を、B案として「店舗全員研修の実施」を提案することが考えられます。

 この2案を提示すれば、決裁者は「本当に接客接遇を優先すべきなのか?」という思考ではなく、「店長研修と全員研修のどっちがいいか?」という思考に向かいます。つまり、「接客接遇研修の実施」は既定路線となりやすいわけです。

 スライドは下図のようにつくります。

 まず、両案を併記したスライドを用意。そのうえで、それぞれのメリット・デメリットをまとめたスライドをつくります。

 「店長研修」よりも「店舗全員研修」のほうが徹底度は高いが、「店舗全員研修」を行うためには店舗を閉める必要があるため売上が減少します。そのメリット・デメリットを1枚のスライドにわかりやすくまとめると、決裁者は判断しやすくなります。

 なお、提案内容がやや複雑な場合には、両案を併記したスライドの後に、A案B案それぞれについて概要を伝えるスライドを1枚ずつ挿入することもあります。

どちらの案を推すのか明確にする

 ただし、2案を提示する際に注意していただきたいことがあります。

 まず第1に、方向性の異なる2案を提示してはなりません。たとえば、顧客満足度を上げるために、「接客接遇研修」と「店舗のクリーンネス」の2案を提案するようなプレゼンはNGです。双方がまったく異なる方向性をもっているため、決裁者は「もっと、煮詰めた提案をもってくるべき」と判断。差し戻しになる可能性が高くなるでしょう。

 ですから、2案を提案するときには、必ず、方向性は同じだけど細部に違いのある案を提示してください。

 新商品のテスト販売を行いたいという提案であれば、販売店舗数の「多い」「少ない」の2案を提示する。テスト販売期間の「長い」「短い」の2案を提示する。テスト販売を行うだけの案と、テスト販売にプラスして新しい販促活動も行う案の2案を提示する。このように、大筋は変わらない2案を提案するのがベストです。

 そうしておけば、万一、2案とも否決され、再提案する必要が生じても、「テスト販売を行う」ことは承認されるケースが多いでしょう。これも、一歩前進。「陣地」を広げることができるのです。

 第2に、2案のうち、どちらを推すのかを明確するようにしてください。
 なかには、「どちらでもいい」というスタンスでプレゼンする人もいますが、それでは、「どちらの案にも確信がもてずにいる」という印象を与えてしまいます。必ず、「私は、○○の理由によりA案を推します」などと明言するようにしてください。

 そのために、スライドでは下図のようなイラストレーションを活用すると効果的です。メリット・デメリットのスライドを表示しながら、双方の詳細を説明したうえで、アニメーションでA案の枠を赤で囲み、「私は、○○の理由によりA案を推します」と説明するといいでしょう。
 

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前田鎌利 

まえだ・かまり 1973年福井県生まれ。東京学芸大学卒業後、光通信に就職。2000年にジェイフォンに転職して以降、ボーダフォン、ソフトバンクモバイル株式会社(現ソフトバンク株式会社)と17年にわたり移動体通信事業に従事。2010年に孫正義社長(現会長)の後継者育成機関であるソフトバンクアカデミア第1期生に選考され第1位を獲得。孫正義社長に直接プレゼンして幾多の事業提案を承認されたほか、孫社長のプレゼン資料づくりも数多く担当した。その後、ソフトバンク子会社の社外取締役や、ソフトバンク社内認定講師(プレゼンテーション)として活躍。著者のプレゼンテーション術を実施した部署で、決裁スピードが1.5~2倍になることが実証された。2013年12月にソフトバンクを退社、独立。ソフトバンク、ヤフー、株式会社ベネッセコーポレーション、大手鉄道会社などのプレゼンテーション講師を歴任するほか、全国でプレゼンテーション・スクールを展開している。


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