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セールスは1分で決まる!
【第9回】 2015年8月5日
著者・コラム紹介バックナンバー
宮崎美千子

売れない商品に「同情」を生ませる

営業力がなくても売れる話を前々回にしましたが、今回は、売れない商品をいかに売るか、がテーマです。これは誰でもできることではありませんが、売れない商品を売ってこそ、真のセールスと言っていいでしょう。売れない商品を売れる商品に変えるには、安くすればいいってものではありません。それ以外の価値を見い出すのです。
7月17日発売『セールスは1分で決まる!』連載第9回。

ネガティブ×ネガティブ=???

 連載の第7回「営業力がなくても、商品力を借りれば売れる!」で、新人は売れている商品を売ればいいとお伝えしました。

 しかし、誰もが売れている商品ばかりを売っていては、いけません。

中堅・ベテラン組は営業力を発揮して、売れている商品以外の商品を売ってほしいものです。

 言葉を言い換えると、売れない商品を売ってこそ、真のセールスといっていいでしょう。

 会社が活動する中で、商品を販売していると、どんなに厳選した商品でも売れる商品と売れない商品が出てきます。

 会社にとって、この売れないものをどう売るかは悩みのタネです。

 「この在庫、何とかして売れないかな?」と上司から相談を受けました。

 「これ売れてないですよね。売れない商品をキャンペーンにしても、お客様は喜ばないですよ」
「価格を下げたらどうだろう?」
「価格を多少下げても難しいです」

お客様が商品の良さに気がついていない場合などは、「こんな使い方ができますよ」とか「こんな効果もあるんですよ」と説明して販売促進することも可能ですが、そうでない場合は、売る方法がないのです。

 お客様が必要のないものを売ることになるわけですから、大変なことです。

 しばらく考えた私は、言いました。

 「これすべて売れ残り商品ですよね。正直にそう言って売りましょう」
「売れ残りです、なんて言って売れるわけないだろ!」と、上司には一喝されました。

 しかし、どんなにきれいごとを並べても、売れ残りは売れ残りなのです。その現実は私たちもお客様も分かっているのです。

 どうせなら売れ残りを大集合させて販売したほうがいいと考えました。

 「これを、『かわいそうな、お在庫セット』にして格安で売りましょう」
上司は最後まで、「そんなことしたらクレームが来るよ」と心配していましたが、私はこの「お在庫キャンペーン」を決行しました。

 私は、このキャンペーンを成功させるためにチラシやPOPを工夫しました。

 今までにない「ネガティブキャンペーン」です。

 ネガティブを少しでもポジティブに見せるのではなく、ネガティブを猛アピールしたのです。

 ポイントは「同情」です。

私への同情ではなく、商品に同情を寄せてもらわなくてはいけません。売れ残り商品になり切って、その気持ちをそのまま言葉にしました。

 このままでは、処分されてしまう哀れな運命を言葉に表すのです。

【史上初! お在庫セット(売れ残り)キャンペーン】
私たちは日本での“売れ残り”です。
哀れなお在庫たちです。
どなたか引き取ってくださ〜い。
処分前の最後のチャンスなんです〜〜。
★のっぴきならない事情で、こんなキャンペーンやっちゃってごめんなさい。★
                           By 宮崎

 そして、商品ごとにコメントを書きました。

 「私は鳴り物入りでフランスから来たのに、色が派手過ぎると言って日本の方に嫌がられました(泣)。でもパーティーのときにはこの色がとても目立ってすてきなんですよ〜」

 「私は、1年前に誕生したのですが、香りが嫌いと言われてしまいました。フランスではこの香り大人気なのに〜〜。このままだと捨てられちゃいます(大泣)」

 ここで一つ大切なのは、言葉だけ見るとネガティブのオンパレードで暗くなるので、(涙)(泣)のマークや、注文が来て喜んでいる商品のかわいいイラストを入れることです。

「言葉をできるだけ暗く、見た目は明るく」がポイント。パッと見て、見た目が暗いとお客様は見てくれません。お客様が見て、最初「何? これ?」と思っても、思わず「プッ」と笑っちゃうようなちゃめっ気が必要です。

 そしてこの「お在庫キャンペーン」は全国一斉に行うのではなく、対象地域を限定して行いました。

 もちろん理由があります。このお在庫セットが好評だったら、「怒られると思ったのに○○地区で大好評だった、お在庫キャンペーンです。再登場!」と他の地域にさらなるアピールができるのです。

 もし、失敗しても少ないコストで済みます。利益を生まない商品にムダなコストはかけられません。予想した通り、すぐにお客様から反響がありました。

 「かわいそうなお在庫を引き取ってくれる人を探しているんです」
「これ、全部売れ残りでしょ?」
「そうなんですよ、書いてある通り、売れ残り君たちです。プレゼントに使うのもいいと思うんですよ」

 みんなが嫌と言うものでも、欲しいと思う人がいるかもしれない。

 「そうね。確かに安いから、クリスマスにこの中から好きなものをプレゼントしてもいいわね」
「そうです、そうです。自分では買わないけど、もらったらうれしいものもありますから」

 このお客様は、3セットも購入してくれました。

 商品にはそれぞれ価値があるのです。私は、この売れない商品に、「お客様に同情してもらえる価値」を見つけたのです。

 商品にとっても倉庫でずっと放置され、最後は処分されるより、安くてもお客様に引き取っていただき活用してもらうほうが何倍も幸せなのです。

 売れない商品にもう一度目を向けてみると、別の価値が見つかるかもしれません。

POINT

売れないから売れない商品。
ネガティブを猛アピールし、
お客様に同情してもらう価値を見いだしましょう!

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宮崎美千子 

 

1988年福岡大学法学部法律学科卒業。同年4月、福岡市内の建設会社に一般職で入社し、総務人事部配属となる。結婚とコスメの夢を求めて退職、上京し、91年、株式会社マンダムの子会社、株式会社ミック(当時)に転職。主にマーケティングと教育を担当し、入社6年目、31歳で広報兼マーケティング担当課長となる。話題のスーパーOLとして、女性誌の取材や講演の依頼が飛び込む。33歳で結婚退職、翌年長男を出産。37歳で離婚し、フランスの化粧品ブランドにマーケティングマネジャーとして再就職。2004年38歳シングルマザーでありながら、株式会社ビ・マジークを設立。
フランスのエステブランド『コラン』、スイスの『ビタクリームB12』と契約交渉し、日本独占販売権を取得。また、自社ブランド『コラボーテ』を開発し、輸出も開始。11年から『ショップチャンネル』に出演し、1時間で1億円以上稼ぎ、『ビタクリームB12』を世界42か国中、一番の売上(世界売上の40%)にする。
14年に、「宮崎美千子のビューティ・マジック!」(ラジオ日本)を担当し、メディア出演実績は「anan」「With」「SWEET」「女性自身」「美STORY」「edu」「Grazia」など。コスメ業界ではその名を知らない者はいない。また、「結婚」「離婚」「セールス」「起業」「経営」など、自身の経験に基づくユニークな考え方が評判になり、相談や取材、講演などが殺到している。
目白大学短期大学部特別講師(14年~)
愛媛県四国中央市ふるさとアドバイザー(15年~)
 

 


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