ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
野口悠紀雄が探る デジタル「超」けもの道

グーグル「ストリートビュー」と検索エンジンCuilの登場

野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]
【第37回】 2008年8月18日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage

 この1~2週間の間に、ウェブの世界には大きな出来事が2つ起こった。

 第1は、「グーグルマップ」「の「ストリートビュー」の日本版が8月5日に公開されたことだ。この日、たまたま地図を参照する必要があってグーグルマップを開いたところ、新しい機能を見つけた。私のもとには、「驚いた」という感想を記したメールが何通も届いた。それから数日間、打ち合わせの席上では、まずこのことが話題に上った。「寄ると触るとストリートビュー」というのが、私の周りの1週間である(「はまりこんで時間を取られたでしょう」と言った人もいたが、幸か不幸か、この1週間、2つの本の最終校正で一刻の余裕もなかったので、あまりゆっくり見ている暇はなかった)。

 誰もが考えたのは、「プライバシーは大丈夫か?」ということだ。この問題は、今後間違いなく議論されることになるだろう。ただし、簡単には決着がつくまい。通行人や車が撮影されてしまうのはもちろん問題だが、「家の外観がプライバシーなのかどうか?」ということになると、大いに議論の余地がある。「ストリートビュー」は、プライバシーに関して、新しい問題を提起したと考えるべきだろう。現に、アメリカやイギリスでは、大きな問題として議論されている。

 私が意外に思ったのは、日本のマスメディアがこれに関してあまり大きな報道をしなかったことだ。「Google ニュース」で「ストリートビュー」の新聞記事を検索してみると、8月12日現在、一般日刊紙でヒットするのは、毎日新聞8月4日と読売新聞8月8日の2つの記事だけであり、各社のサイトを検索すると、朝日新聞8月6日と日本経済新聞8月5日の記事があるくらいだ。日本でサービスが始まったことを伝える短い記事が多い。

 これに対して、ニューヨーク・タイムズ(NYT)をgoogleと"street view"という2つのキーワードでand検索をすると、8月12日現在で416件の記事がヒットする(google、street、viewの3語のand検索をすると、streetとviewが別に表れる記事も拾うので、"street view"を検索語とする必要がある)。アメリカでのサービス開始は2007年5月末だから、単純に計算すれば1日あたりほぼ1件ということになる。そして、各記事はかなり長い(主としてプライバシーの問題を論じている)。

 NYTだけでこれだけの記事があるのだから、日本での報道は、「きわめて少ない」と考えざるをえない。「個人情報」については、あれほどかしましく議論が行なわれたにもかかわらず、日本のマスメディアはなぜ「ストリートビュー」に大きな関心を示さないのだろう? 私の周囲の熱狂振りと比較すると、これは「不思議」と言わざるをえない現象である。

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR
【デジタル変革の現場】

企業のデジタル変革
最先端レポート

先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR


おすすめの本
おすすめの本
野口悠紀雄氏の最新刊「円安バブル崩壊」好評発売中!

急激な円高と止まらぬ株価下落。日本経済はいまや深刻な危機に。「サブプライムショック」はあくまでも引き金に過ぎない。根本的な原因は、あり得ない円安・低金利政策にある。経済政策の無能を厳しく指弾する痛快経済エッセイ! 1680円(税込)

話題の記事

野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]

1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、2011年4月より早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。主な著書に『情報の経済理論』『財政危機の構造』『バブルの経済学』『「超」整理法』『金融緩和で日本は破綻する』『虚構のアベノミクス』『期待バブル崩壊』等、最新刊に『仮想通貨革命』がある。野口悠紀雄ホームページ

------------最新経済データがすぐわかる!------------
『野口悠紀雄 使える!「経済データ」への道』


野口悠紀雄が探る デジタル「超」けもの道

本当に使える情報源を求めて、野口教授が広大なインターネット・ワールドを駆けめぐる。各種情報源の特徴から使い勝手まで、辛口コメントを交えて大公開!

「野口悠紀雄が探る デジタル「超」けもの道」

⇒バックナンバー一覧