ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
宿輪ゼミLIVE 経済・金融の「どうして」を博士がとことん解説

中国経済再生の秘策 人民元の基軸通貨化はいつか?

宿輪純一 [経済学博士・エコノミスト]
【第16回】 2015年8月5日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage

 中国の景気が停滞の様相を呈し、上海株式市場も大きく下落しています。中国はこの危機を、人民元の基軸通貨化で乗り越えようとしているようです。

 日本の経済政策を学ぶ中国は、今後、量的金融緩和などの景気対策を導入する可能性があります。その際、米ドルと同じように人民元が基軸通貨であれば、各国が人民元を保有し、さらにそれを国債で保有してもらえる可能性が高くなるため、中国としては景気変動に安定的に対応できるようになります。

 人民元が基軸通貨になるためには、まず、 IMF(International Monetary Fund:国際通貨基金)の通貨 SDR(Special Drawing Right:特別引出権)の構成通貨(現在、米ドル・ユーロ・英ポンド・日本円)に選ばれること、つまり主要な国際通貨、準基軸通貨として認められるということがとても大事なのです。

基軸通貨になることのメリット

 ここで、自国通貨が主要な国際通貨、つまり基軸通貨になると何がよいのか、考えてみましょう。まず、民間部門では、海外との取引で自国通貨が使えるということは為替変動リスクから解放され、また送金関係の手数料も少なくなるため、経営が楽になります。

 しかし、自国通貨が国際通貨・基軸通貨になってよりメリットが大きいのは、実は通貨当局(財務省と中央銀行)などの公的部門です。例えば米国では、従来、経常(貿易)赤字と財政赤字に苦しんできましたが、これを基軸通貨の効力によって埋めてきました。

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR
【デジタル変革の現場】

企業のデジタル変革
最先端レポート

先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

宿輪純一[経済学博士・エコノミスト]

しゅくわ・じゅんいち
 博士(経済学)・エコノミスト。帝京大学経済学部経済学科教授。慶應義塾大学経済学部非常勤講師(国際金融論)も兼務。1963年、東京生まれ。麻布高校・慶應義塾大学経済学部卒業後、87年富士銀行(新橋支店)に入行。国際資金為替部、海外勤務等。98年三和銀行に移籍。企画部等勤務。2002年合併でUFJ銀行・UFJホールディングス。経営企画部、国際企画部等勤務、06年合併で三菱東京UFJ銀行。企画部経済調査室等勤務、15年3月退職。4月より現職。兼務で03年から東京大学大学院、早稲田大学、清華大学大学院(北京)等で教鞭。財務省・金融庁・経済産業省・外務省等の経済・金融関係委員会にも参加。06年よりボランティアによる公開講義「宿輪ゼミ」を主催し、4月で10周年、開催は200回を超え、会員は“1万人”を超えた。映画評論家としても活躍中。主な著書には、日本経済新聞社から(新刊)『通貨経済学入門(第2版)』〈15年2月刊〉、『アジア金融システムの経済学』など、東洋経済新報社から『決済インフラ入門』〈15年12月刊〉、『金融が支える日本経済』(共著)〈15年6月刊〉、『円安vs.円高―どちらの道を選択すべきか(第2版)』(共著)、『ローマの休日とユーロの謎―シネマ経済学入門』、『決済システムのすべて(第3版)』(共著)、『証券決済システムのすべて(第2版)』(共著)など がある。
Facebook宿輪ゼミ:https://www.facebook.com/groups/shukuwaseminar/
公式サイト:http://www.shukuwa.jp/    
連絡先: info@shukuwa.jp

 


宿輪ゼミLIVE 経済・金融の「どうして」を博士がとことん解説

「円安は日本にとってよいことなんでしょうか?」「日本の財政再建はどうして進まないのでしょうか」。社会人から学生、主婦まで1万人以上のメンバーを持つ「宿輪ゼミ」では、経済・金融の素朴な質問に。宿輪純一先生が、やさしく、ていねいに、その本質を事例をまじえながら講義しています。この連載は、宿輪ゼミのエッセンスを再現し、世界経済の動きや日本経済の課題に関わる一番ホットなトピックをわかりやすく解説します。

「宿輪ゼミLIVE 経済・金融の「どうして」を博士がとことん解説」

⇒バックナンバー一覧