27年ぶりの小樽再訪、記憶との落差で考えたこと北海道の観光スポットとして名高い小樽運河

 北海道中国会が設立一周年の記念行事として、札幌で日中友好フォーラムを開催した。

 第一部の基調講演に、丹羽宇一郎・前中国大使先生を講師に迎えた。私は第二部のパネルディスカッションに、パネリストの一人として呼ばれた。パネルディスカッションのテーマは「北海道活性化するため 中国とどう付き合うのか」といったものだ。

 50歳になるまで、いくら関係者から熱意のこもった誘いがあっても、私の講演活動に妻を一度も同行させたことがなかった。50歳になってからは年に1度くらいは妻を連れていくようになった。今回も主催側の温かい心遣いで妻が同行してくれた。

 実は妻と一緒に最初に北海道に訪れたのは、娘が来日前の1988年の夏だった。まだ留学生の私は東京からフェリーに乗って苫小牧に上陸してから鉄道で札幌まで移動して、そこを中心に北海道の旅を楽しんだ。

 当時は札幌の日本人の友人の家に泊まって、小樽、余市、積丹岬を回ったりしたのち、青春18きっぷを使って、札幌発の夜行列車に乗った。乗り換えの機会を生かしながら、途中下車して函館などを見学しながら、一路仙台へ向かった。仙台からは夜行バスを使って東京に帰った。典型的な貧乏旅行だったが、それでも旅の醍醐味を満喫した。

27年前の静けさとは様変わり
外国語が飛び交う小樽の活気

 あっという間に、四半世紀以上の歳月が過ぎ去った。札幌でのパネルディスカッションを終えた私は、友人が運転する車で1988年の夏に回った思い出の土地を妻とともに再訪した。

 札幌はその後、妻も2度くらい訪問したことがある。しかし、小樽をはじめその他の町に対してはいずれも27年ぶりの再訪である。私にとっても余市と積丹岬は27年ぶりだ。記憶に鮮やかに残っていた27年前の景色や町の様子と今度の再訪で見たもの、感じたものとの落差を否応なしに痛感させられ、いろいろと考えさせられた。