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組織の病気~成長を止める真犯人~ 秋山進

責任を取りたくない幹部たちの得意技!
「意思決定ロンダリング」とは何か

秋山進 [プリンシプル・コンサルティング・グループ株式会社 代表取締役]
【第25回】 2015年8月17日
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あなたが何気なく参加している会議。もしかすると、実力者によって「意思決定ロンダリング」の手段に使われているかも?

 組織の重要な「意思決定」はいかにして行われるのか。テレビドラマでは、情熱的なプレゼンが行われ、それを見て心を動かされた社長が「よし、それに賭けてみよう!」となる。『プロジェクトX』などでそういうシーンを見たことがある人もいるだろう。

 もちろん、そういうこともあるにはある。しかし、通常のほとんどの意思決定はそのようにドラマチックなものではない。

 実際には、あることを実行したいと思っている(実力)者が、最適だと思われる機関を利用して、自分の個人的な意思を巧妙に組織の意思に作り替えるのが「意思決定」だ。検討に必要な材料を揃え、いろいろな人が意思決定に参画した形式を整え、正当性を確保するだけなのだ。そのため、他の意見が入る余地は小さいし、シナリオ外の決定はほとんどない。いわば、「意思決定ロンダリング」と呼んでもいいだろう。

官公庁のシナリオ通りに
御用学者や財界人が動く「委員会」

 この手の「意思決定ロンダリング」は、国や自治体の意思決定プロセスでもよく用いられる。恣意性を排除するために、「衆知を集める」という名目で「委員会」を組織することが多いが、そこに「御用学者」や「御用財界人」が集められることになる。すでに明確な意思を持っている事務方にとって都合のいい意見を言って、追認してくれる人たちだ。

 そこでは「お互いに空気を読み合って」「自分の範囲を越えず」「流れに沿って」「阿吽の呼吸で」話し合いをする技術が求められる。あまりに賛成一色だと困るので、あえて異論を述べてくれる少数の「反対派」は入れてあるものの、多数派はしっかりと押さえてある。

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秋山 進 [プリンシプル・コンサルティング・グループ株式会社 代表取締役]

リクルート入社後、事業企画に携わる。独立後、経営・組織コンサルタントとして、各種業界のトップ企業からベンチャー企業、外資、財団法人など様々な団体のCEO補佐、事業構造改革、経営理念の策定などの業務に従事。現在は、経営リスク診断をベースに、組織設計、事業継続計画、コンプライアンス、サーベイ開発、エグゼクティブコーチング、人材育成などを提供するプリンシプル・コンサルティング・グループの代表を務める。京都大学卒。国際大学GLOCOM客員研究員。麹町アカデミア学頭。

著書に『「一体感」が会社を潰す』『それでも不祥事は起こる』『転職後、最初の1年にやるべきこと』『社長!それは「法律」問題です』『インディペンデント・コントラクター』『愛社精神ってなに?』などがある。


組織の病気~成長を止める真犯人~ 秋山進

日本には数多の組織があり、多くの人がその中に属しています。組織は、ある目的のために集まった人たちで成り立っているにも関わらず、一度“病”にかかれば、本来の目的を見失い、再起不能の状態へと陥ります。しかも怖いのが、組織の中の当人たちは、“病”の正体が分からないどころか、自分たちが“病”にかかっていることすら気づけない点です。

この連載では、日本の組織の成長を阻害している「組織の病気」を症例を挙げて紹介。コンプライアンスの観点から多くの企業を見てきた筆者が考える治療法も提示します。

「組織の病気~成長を止める真犯人~ 秋山進」

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