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佐藤可士和の打ち合わせ
【第9回】 2015年8月19日
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佐藤可士和 [アートディレクター]

イメージすることなく
打ち合わせに参加してはいけない

打ち合わせはあまりにも身近で、そこかしこの企業で行われてきました。日本を代表するアートディレクター・クリエイティブディレクターである佐藤可士和氏も、その多忙な生活の多くを打ち合わせで費やしています。そして、たくさんの打ち合わせの経験からいかにそれが大切なものか『佐藤可士和の打ち合わせ』(ダイヤモンド社)で述べています。
打ち合わせは人と人が行うものですから、機械的には進みません。人が気持ちよく腹を割って話すには、「場づくり」が肝。スムーズで活気溢れる打ち合わせを行うためには、どのような場をつくることが求められるのでしょうか。

打ち合わせの「場づくり」が
いい空気を生む

 実は打ち合わせに欠かせないもう一つの要素として、「場の雰囲気づくり」があります。その一つの要素として、誰がどこに座るのかという席順があります。
席順を考えられるほどの気配りや配慮がなければ、仕事はうまくいきません。

 端的に、席順が考えられるということは、打ち合わせのキーマンが誰かを理解できているということです。重要な順番も、理解できている。打ち合わせに出てくるメンバーが、どんな利害関係にあるのかもわかっているということでしょう。ちょっとウマが合わない、利害がぶつかる人同士は真正面に置かない、などという気配りもできる。
 実際には、その席順通りに座ることができないかもしれない。しかし、それだけの気配りができていれば、打ち合わせはうまくいくと思います。

 基本は、決定権のあるキーマンが打ち合わせの場の真ん中にいる構図になると思います。しかし、いつもそれでいいとは限りません。
 性格が把握できていて、キーマンだけれど、あえて真ん中に座りたくないシャイな人は、ちょっとだけ席をずらす、というところまで考えられる人がいます。こうした配慮は、受け手は間違いなく理解してくれるでしょう。心地良く打ち合わせに出てくることができるのです。
 こうした場づくりが、いい打ち合わせの空気を作りだすのです。

席順を決めることには、「打ち合わせの意図をもたせる」というメリットもあります。その打ち合わせにおいて、「打席に立つのは誰か」をはっきりさせることができるということです。
 野球では、守備と攻撃があって、打順が決まっています。順番に打席は回ってくるわけです。ところが、打ち合わせはかならずしもそうではない。連続して打席に立つ人もいれば、たまにしか打席が回ってこない人もいる。
 となれば、誰が打席に立っているのか、を意識することは極めて重要になります。言ってみれば、その打ち合わせの主役。そこで輝く役割を果たしてもらわなければいけないのです。
 そこで、打ち合わせの席順でそれをサジェスチョンするのです。「今日は、あなたが決めるんですよ」「君がやるんだよ」ということが席でわかるようにする

 このようにすると、打ち合わせで当事者意識を持ってくれないメンバーがいた場合にも有効です。自分が当事者であるという自覚を持たせることができるからです。
 席順にプラスして、「責任者はあなたですよ」「あなたのプロジェクトですよ」「これで困るのは、あなたですよ」ということを、打ち合わせの中で敢えて言うことも有効です。

 ただ、そもそも打ち合わせはみんなで作り上げる場。打ち合わせに出ているだけで、すでに当事者であることを忘れてはならない、というのが原則ではあるのです。

<POINT>
打ち合わせポイント(28)席順にも気を配る
打ち合わせポイント(29)「打席に立つのは誰か」をはっきりさせる

イメージの重要性!
「イメージの徹底」が何よりもの打ち合わせの準備

 打ち合わせにおいて最も大事な能力は何か、と問われたら、僕は「イメージ力」と答えます。これは、どんな打ち合わせになるか、イメージしておく力です。

佐藤可士和(さとうかしわ)
博報堂を経て「SAMURAI」設立。主な仕事に国立新美術館のシンボルマークデザイン、ユニクロ、楽天グループ、セブン-イレブン・ジャパン、今治タオルのブランドクリエイティブディレクション、「カップヌードルミュージアム」「ふじようちえん」のトータルプロデュースなど。毎日デザイン賞、東京ADCグランプリほか多数受賞。慶応義塾大学特別招聘教授、多摩美術大学客員教授。著書にベストセラー『佐藤可士和の超整理術』(日経ビジネス人文庫)他。

 前提として打ち合わせの目的をクリアにしておくことが大切なのですが、目的がはっきりしていれば、どんな打ち合わせになるのかは、なんとなくでもイメージができるはずです。それを、ほんの少しでも考えようとしているか、いないのか。その差は大きいのです。

 

 ところが、何も考えないで、いきなり打ち合わせに来ている人は実は多いものです。書類やファイルは持っているけれど、読み込んでもいない。これでは、打ち合わせに必要なイメージはできないでしょう。「とりあえず打ち合わせが始まってから考えよう」では圧倒的に遅いのです。

 打ち合わせとは、みんなで一緒に「作り上げる」場です。そして、「作ること」は、「イメージすること」から始まります。イメージできないものが、現実になることはないのです。

どんな素晴らしいアイデアも、デザインも、プロダクトも、すべて「こんなものがあったらいいな」「こういうことが起きればいいな」といったぼんやりとしたイメージから始まるのです。
 僕自身の仕事も、そうしたイメージから、すべて始まります。
 かつてスキーでオリンピックに出場したアスリートと対談したことがありますが、スポーツの世界でも、イメージは極めて大切なのだそうです。
 イメージをしなければ、身体が動かない。真っ白な頭の状態で、突然、身体を動かすことはできないというのです。

すべてはイメージから始まるのです。そして、そのぼんやりとしたイメージを意見としてぶつけあうことで具体化していくのが、打ち合わせの場なのです。

 もちろん、いきなり正解を持ってくる必要などまったくありません。話合う内容は、正解でなくていいのです。これはどうだろう、あれはどうですか、こんなのダメですか、こんなことしたら面白くないですか、といったとりとめのないイメージでまったく構いません。
 そもそも正解などないのが、仕事の世界です。正解はあるのではなく、作るもの。正解のないところに、各々がイメージを持ち寄り、正解を作り上げていく場。それこそが「打ち合わせ」なのです。

 次回は、打ち合わせでよく使うアイデアという言葉について考えます。あなたは、気軽に「アイデア出して」「ちょっとしたアイデアでもいいよ」などと言ってはいないでしょうか? 気軽に発した一言が実は相手にとんでもないプレッシャーをかけているかもしれません……。

<POINT>
打ち合わせポイント(30)何も考えないで、いきなり打ち合わせに来てはいけない
打ち合わせポイント(31)イメージできないものは、行動できない
打ち合わせポイント(32)正解はあるのではなく、作るもの

 

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佐藤可士和(さとうかしわ) [アートディレクター]

博報堂を経て「SAMURAI」設立。主な仕事に国立新美術館のシンボルマークデザイン、ユニクロ、楽天グループ、セブン-イレブン・ジャパン、今治タオルのブランドクリエイティブディレクション、「カップヌードルミュージアム」「ふじようちえん」のトータルプロデュースなど。毎日デザイン賞、東京ADCグランプリほか多数受賞。慶応義塾大学特別招聘教授、多摩美術大学客員教授。著書にベストセラー『佐藤可士和の超整理術』(日経ビジネス人文庫)他。


佐藤可士和の打ち合わせ

 打ち合わせはあまりにも身近で、これまで何の課題ももたれずに、そこかしこの企業で行われてきました。日本を代表するアートディレクター・クリエイティブディレクターである佐藤可士和氏も、その多忙な生活の多くを打ち合わせで費やしてきました。その中で、いかに効果的に打ち合わせをするかが、仕事の肝だと考えるようになったといいます。  拙著「佐藤可士和の打ち合わせ」(ダイヤモンド社)には、その打ち合わせ術が存分に盛り込まれています。今回の連載では、そのエッセンスをお伝えしていきます。  打ち合わせを制する者は仕事を制する! あなたも是非打ち合わせマスターになってください。

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