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野口悠紀雄 未曾有の経済危機を読む

上海では地価が150%以上に急騰!
中国の不動産バブルは対岸の火事ではない

野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]
【第64回】 2010年3月27日
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 中国で不動産のバブルが生じている。

 中国国家発展改革委員会が発表した2010年1月の全国70都市の不動産価格指数は、全国平均が前年同月に比べて9.5%上昇した。2月には、10.7%の上昇となった。

 英フィナンシャル・タイムズ紙(2010年1月7日付)によると、新築住宅の平均価格は、09年11月までの1年間に上海で68%、北京で66%、深センで51%上昇した。所得に対する住宅価格の比率で見ると、中国は現在世界で最も住宅価格の高い場所になっている。

 09年における住宅売却額は5600億ドル(約50兆4000億円)にのぼり、1年前より80%以上も増加したという。不動産ブームの中心地である上海では、地価が03年から150%以上も上昇した。北京や上海などの大都市では、面積100平方メートル前後の住宅(つまり、特別豪勢であるとは思えない住宅)が、500万元(約6500万円)以上で取引されるケースも多いそうだ。中国の1人当たりGDPは日本の10分の1以下であることを考えると、これは異常な価格であると考えざるをえない。

 中国では土地私有は禁じられているのだから、以上で見た不動産バブルは、考えてみれば奇妙な現象だ。市場で取引されているのは、土地の使用権と建物である。土地自体は、国民や企業が政府から最長70年間借りる制度である。

 先日、中国のメディアからこの件で取材を受けたので、こちらから質問して逆取材した。

 「いま買わないと、もう買えない」という都市住民の焦りは、高まっている。購入者の多くが値上がり後の転売を目的にしており、入居者のいない空室も目立っている。大都市のマンション価格は収入の20倍となり、「住宅ローンの奴隷」という言葉がはやっているのだそうだ。

金融緩和の影響が大きいため、
元安、輸出増、不動産バブルが生じる

 現在の不動産バブルは、直接的には中国の景気拡大策の影響だ。金融緩和によって住宅ローン金利を引き下げ、また不動産開発に義務付ける自己資金規制を大幅に緩めた。このため、不動産開発と住宅に対する需要が膨張したのだ。

 また、元レート固定化の影響でもある。この1年8ヵ月間、元は1ドル=6.83元で動いていない。05年7月に介入を緩和したときに元の対ドルレートが約2割上昇したことから考えても、相当規模の元売りドル買い介入を行なっていると考えられる。こうした介入は、国内の金融緩和をもたらし、国内にインフレ圧力を与える。

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野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]

1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、2011年4月より早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。主な著書に『情報の経済理論』『財政危機の構造』『バブルの経済学』『「超」整理法』『金融緩和で日本は破綻する』『虚構のアベノミクス』『期待バブル崩壊』等、最新刊に『仮想通貨革命』がある。野口悠紀雄ホームページ

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