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佐藤可士和の打ち合わせ
【第14回】 2015年8月31日
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佐藤可士和 [アートディレクター]

なぜ日本の打ち合わせは
ダラダラしているのか?

打ち合わせはあまりにも身近で、そこかしこの企業で行われてきました。日本を代表するアートディレクター・クリエイティブディレクターである佐藤可士和氏も、その多忙な生活の多くを打ち合わせで費やしています。そして、たくさんの打ち合わせの経験からいかにそれが大切なものか『佐藤可士和の打ち合わせ』(ダイヤモンド社)で述べています。
前回は開始時間の厳守についてお伝えしましたが、同様に終了時間も守る必要があることをお伝えしていきます。そして、その打ち合わせで「決め切る」という覚悟がいかに大切か。打ち合わせの締め方についてご紹介します。

「今日は無理だな」
と思ったら早めに打ち切る

佐藤可士和(さとうかしわ)
博報堂を経て「SAMURAI」設立。主な仕事に国立新美術館のシンボルマークデザイン、ユニクロ、楽天グループ、セブン-イレブン・ジャパン、今治タオルのブランドクリエイティブディレクション、「カップヌードルミュージアム」「ふじようちえん」のトータルプロデュースなど。毎日デザイン賞、東京ADCグランプリほか多数受賞。慶応義塾大学特別招聘教授、多摩美術大学客員教授。著書にベストセラー『佐藤可士和の超整理術』(日経ビジネス人文庫)他。

 打ち合わせでは、時間のマネジメントが重要です。その中で、終了時間を守ろうとする意識ももちろん大切にすべきです。ところが、この感覚が薄い人も意外に多い。

 議題が終わっていないからと、時間を勝手に延長してしまう。終わりの時間が迫っているのに、話をまとめようとする気配がない。そんな経験を山ほどしてきました。
 打ち合わせの出席者には、みんな予定があります。次の予定に影響を与え、遅刻させてしまうようなことになったら、時間というコストを奪ってしまうことになります。

 始まりもきちっとしなければいけませんが、終わりもビシっと時間通りに終わる。そのクセをつけておくべきなのです。

 もし、打ち合わせが延びそうになるのであれば、「今日、決めるのはちょっと無理そうですね」と早めに出席者に伝える必要があります
 このときに注意しないといけないのは、次にいい打ち合わせができるよう、「次までにこんなことを考えてこよう」といった「宿題」をきちんと出しておくことです

 基本的に、打ち合わせは早く終わったほうがいいのです。終わりの時間が決まっていたとしても、その日の目的に達したと感じたなら、打ち合わせは終えてしまう。

 よく、暗黙の了解で「打ち合わせは予定時間いっぱいまでやらなければ」と思い込んでいる人がいます。しかし、基本的には議題が片付いたら前倒しで終了するのがベストでしょう。

 一方で、必要な資料が準備されていなかったり、打ち合わせの出席者がイメージを持ってきていなかったりして、「今日はうまく打ち合わせができそうにない」と感じたら、「今日はこれ以上やっても、いい打ち合わせになりそうにない。次回までに、こういう準備をしておきましょう」と伝えて、打ち合わせを早い時間で打ち切ってしまいます。

 早く目的に達した場合でも、今日は決められないと思った場合でも、予定の半分で終えてしまうこともありますし、10分程度で終えてしまうこともあります。
 ここでも「タイム・イズ・マネー」なのです。無駄な時間は、無駄なコストを生むだけ。集まって打ち合わせれば、なんとかなるものではない。思い切った時間の使い方が重要になると僕は思っています。

<POINT>
打ち合わせポイント(53)ビシっと時間通りに終えるクセをつける
打ち合わせポイント(54)目的に達したら打ち合わせは早く終えたほうがいい
打ち合わせポイント(55)次にいい打ち合わせをするための「宿題」をきちんと出す

その場で決める
覚悟をする

 打ち合わせを無駄な時間にしないためには、「終わり方」を意識することが重要です。その時間に打ち合わせした内容を、出席者全員でしっかり理解し、まとめて終えることができるかどうか。
「今日はこれを決めました」「これでいいですよね」「今日を踏まえて次回はこうしましょう」「今日はこれを決めたかったけど、決まりませんでした」「次回はこういうことを考えてくるのを宿題にしましょう」……。こういうまとめで打ち合わせを終えられるか、ということです。

 そのためにも、打ち合わせを仕切る立場の人は、終わり方を意識して打ち合わせを進めなければなりません。時間内に目的を達することができるか。それを意識しながら、打ち合わせを進めていく必要があるのです。

 打ち合わせは真剣勝負の場であり、試合の場。決められることは、どんどん決めていく。最初から、「今日の打ち合わせで決めるぞ」と覚悟して、臨んでいるのです。
 今日の打ち合わせ内容を持ち帰って、後から考えよう、というようなことは、ほとんどしません。決められることは、その場で決めてしまう。だから、たくさんのプロジェクトが進められるのだと思っています。

 では、なぜ決められるのかといえば、決める気で行っているからです。サッカーで言えば、バンバンシュートを入れようと思って参加している。これで結果は変わっていくのです。
 誰もが、打ち合わせのときに決めようと思えば決められるものなのです。しかも、目の前に仕事相手がいるわけですから、その場で決定事項を共有することができる。
 だから、その場で思いついたイメージをどんどんぶつけていく。そうすることで、お互いのイメージを「正解」に近づけていくことができるのです。
 持ち帰ったところで、考えなければいけないのは結局「自分」です。それよりも、仕事相手を交えて、一緒に考えたほうがいいし、早い。そのほうが、より仕事相手が望むものを見つけることができます。

 日本は高度成長期の成功体験が今なお色濃く残っているからか、長く働くことが美徳だ、という空気があるような気がしてなりません。しかし、もう時代はすっかり変わっているのです。長く働いたからといって、いい結果が出るわけではない
 むしろ、無駄をなくし、できるだけ短時間で物事を進めたほうが絶対にいい。そのほうが、みんながハッピーになるからです。時間にゆとりができれば、気持ちにもゆとりができます。プライベートな時間が増えれば、仕事への活力も生み出せる。

 仕事のほとんどは、実は打ち合わせが占めています。長時間労働を見直すためにも、打ち合わせを見直すことは、大いに意味があるのです。

 次回は、打ち合わせの終盤をどう迎えたらいいか、そして打ち合わせ後業務をきちんと遂行できるまでポイントを理解していることの重要性についてお伝えします。

<POINT>
打ち合わせポイント(56)何を決めたのかを共有して打ち合わせを終える
打ち合わせポイント(57)「今日の打ち合わせで決めるぞ」と覚悟して、臨む
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佐藤可士和(さとうかしわ) [アートディレクター]

博報堂を経て「SAMURAI」設立。主な仕事に国立新美術館のシンボルマークデザイン、ユニクロ、楽天グループ、セブン-イレブン・ジャパン、今治タオルのブランドクリエイティブディレクション、「カップヌードルミュージアム」「ふじようちえん」のトータルプロデュースなど。毎日デザイン賞、東京ADCグランプリほか多数受賞。慶応義塾大学特別招聘教授、多摩美術大学客員教授。著書にベストセラー『佐藤可士和の超整理術』(日経ビジネス人文庫)他。


佐藤可士和の打ち合わせ

 打ち合わせはあまりにも身近で、これまで何の課題ももたれずに、そこかしこの企業で行われてきました。日本を代表するアートディレクター・クリエイティブディレクターである佐藤可士和氏も、その多忙な生活の多くを打ち合わせで費やしてきました。その中で、いかに効果的に打ち合わせをするかが、仕事の肝だと考えるようになったといいます。  拙著「佐藤可士和の打ち合わせ」(ダイヤモンド社)には、その打ち合わせ術が存分に盛り込まれています。今回の連載では、そのエッセンスをお伝えしていきます。  打ち合わせを制する者は仕事を制する! あなたも是非打ち合わせマスターになってください。

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