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めまぐるしく変わるITだからこそ
長期計画の策定が重要になる

内山悟志 [ITR代表取締役/プリンシパル・アナリスト]
【第48回】 2015年9月4日
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ビジネス環境の変化も技術革新が著しいことから、5年先を予想することさえ困難であることはいうまでもない。一方で、抜本的な業務改革やITインフラの構造改革は一大プロジェクトであり長期的な視点を持って臨まなければならない。テクノロジの大転換期にある今こそ、将来のビジネスを見据えて、長期的な視野で企業ITのロードマップを描くことが求められる。

長期的IT計画への関心の高まり

 昨今、ユーザー企業の間で長期的なIT計画を策定しようとする動きが活発化しており、それは大きく3つの背景に起因していると考えられる。

 1つは、リーマンショック以降長く続いた景気後退から一定の回復を見せ、IT投資も復調の兆しが見られることである。コスト抑制により長らく先送りにしてきたITインフラの構造改革や大規模な業務システム刷新に、そろそろ本腰を入れなくてはならないという意識が高まっている。

 事業のグローバル展開やグループ企業を視野に入れた相乗効果の創出の必要性も高まっており、視野に入れるべき情報システムのスコープが拡大していることもその要因となっている。

 2つ目の背景は、今がまさにテクノロジの変曲点であるということである。クラウド、モバイル、IoT(Internet of Things)といったデジタルイノベーションの潮流は、1990年前半に経験したオープン化およびクライアント/サーバ・コンピューティングへのシフトに匹敵する、あるいはそれ以上の影響を企業ITに及ぼそうとしている。これまでの考え方の延長線上では、将来のビジネスを支えることは困難であるとの認識の表れといえる。

 そして、無視できない3つ目の背景は、ITスタッフの高齢化問題である。情報化の初期段階からシステムを構築し、長年IT部門を支えた世代が定年退職などにより会社からいなくなるという問題が顕在化し、技術・ノウハウ伝承に関わる問題が待ったなしの状況となってきている。

 こうした問題を抱える企業では、企業ITの将来像を描き、長期IT計画の策定をIT部門の「式年遷宮」と位置づけ、ベテランの知見やノウハウをそこに組み込みたいと考えている。

変化する環境下でのIT計画の困難さ

 ビジネス環境は常に変化しており、経営や事業が情報システムに対して求める要件も変動する。また、技術革新は著しく、とりわけ現在のようなテクノロジの転換点にあっては、技術要素やその組み合わせは多様かつ複雑なものとなる。

 一方で、情報システムは無形ではあるものの構造物であるため、変動よりも安定を求める性質を持っている。このように、ビジネス環境の変化と技術革新というダイナミック(動的)な環境下で、企業ITというスタティック(静的)な構造を計画することは容易ではない。

 企業では、経営課題や事業課題を解決するために、さまざまなIT施策を立案し、順次計画的に実行している。IT施策は、立案の時点の経営課題や事業課題に対応したものであるだろうが、それを遂行している最中にビジネス環境が変化し、システムへの要件に変更が必要となることも珍しくない。

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内山悟志 [ITR代表取締役/プリンシパル・アナリスト]

うちやま・さとし/大手外資系企業の情報システム部門などを経て、1989年からデータクエスト・ジャパンでIT分野のシニア・アナリストととして国内外の主要ベンダーの戦略策定に参画。1994年に情報技術研究所(現アイ・ティ・アール)を設立し、代表取締役に就任。現在は大手ユーザー企業のIT戦略立案・実行のアドバイスおよびコンサルティングを提供する。


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日々進化するIT技術をどうやって経営にいかしていくか。この課題を、独立系ITアナリストが事例を交えて再検証する。クラウド、セキュリティ、仮想化、ビッグデータ、デジタルマーケティング、グローバル業務基盤…。毎回テーマを決め、技術視点でなく経営者の視点で解き明かす。

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