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満を持してアップルのiPadが登場
アマゾンは次世代キンドルで迎撃
白熱する電子書籍市場の覇者はどっちだ!

瀧口範子 [ジャーナリスト]
【第88回】 2010年4月2日
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   アメリカのテクノロジー業界は、何年に一度かやってくる興奮にうっすらとつつまれている。アップルの新製品発売である。

 アップルは、タブレット・コンピュータiPadを米国で4月3日に発売する予定で、人々はそれを目前にして、実際はどんなデバイスなのか、どのくらい売れるのか、どんなコンテンツが搭載されてくるのかと、さまざまな憶測に揺れているのだ。

シェア急落予想に対し
新興ハイテク企業買収で反撃

 iPad はマルチメディア対応の小型コンピュータ、あるいは大型iPhoneのようなものだが、この発売によって2つの大型テクノロジー企業が正面衝突すると予測されている。言わずと知れたアップル対アマゾンだ。

 音楽、映画、テレビとエンターテインメント・コンテンツをiTunesストアによって手にしてきたアップルにとって、まだ未踏の宝の山が書籍だった。オンライン書店から始まって、「キンドル」によって電子書籍という領土を、先に注意深く開拓していたアマゾンは、さて、アップルをどう迎え撃つのか。

 アマゾンが開発した電子書籍リーダー、キンドルは、これまで数100万台売れ、今年8月までに1000万台に達するというアナリストの予測もある。これまで数々の新興企業やソニーなどの大手企業が発売しても、さっぱりヒットしなかった電子書籍リーダーを、アマゾンは廉価で充実したコンテンツと、通信機能搭載の使いやすいリーダーとの組み合わせで「使える」デバイスとして定着させるのに成功した。

 このセット戦略によってキンドルも売れたが、電子書籍はもっと売上げを伸ばし、アマゾンは現在売れている電子書籍市場の、何と90%のシェアを握っているという。ちなみにプリント版書籍でのシェアは15~20%だ。

 ところが、アップルが攻撃を仕掛けてくるiPadというデバイスは、キンドルとは比べ物にならないほどピカピカでマルチメディア系である。フルカラーのタッチパネル、コンピュータ並みに画面が動き、複雑な画像も充分に見える。90%のアマゾンのシェアは、数年内に35%にまで落ちるだろうという悲観的な予測もある。

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瀧口範子 [ジャーナリスト]

シリコンバレー在住。著書に『行動主義: レム・コールハース ドキュメント』『にほんの建築家: 伊東豊雄観察記』(共にTOTO出版)。7月に『なぜシリコンバレーではゴミを分別しないのか?世界一IQが高い町の「壁なし」思考習慣』(プレジデント)を刊行。


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