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野口悠紀雄 新しい経済秩序を求めて

ビットコインの技術応用で変わる米金融界と、
後れを取る日本

野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]
【第27回】 2015年9月3日
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ビットコインに使われている技術の応用で、金融界は大きく変わる可能性がある

 仮想通貨に対するアメリカの金融機関の認識は大きく変化し、証券取引所や大手銀行が具体的な取り組みを始めている。

 ビットコインという特定の仮想通貨を使うのではなく、その背後にある「ブロックチェーン技術」を、証券取引や銀行内部で使おうとしているのだ。

 ビットコインそのものが現行通貨の代替物になるかどうかには疑問を抱く人が多いが、ブロックチェーン技術が金融取引を大きく変えることについては、金融関係者の間でほとんど異論がない。

「証券取引に革命を起こす」
ナスダックが導入する新しいシステム

 ニューヨークタイムズ(2015年8月28日)は、ビットコイン技術に関する最近の動向を紹介する記事(NATHANIEL POPPERAUG, Bitcoin Technology Piques Interest on Wall St.)を掲載した。

 ここで紹介されているいくつかの取り組みのうち、最も注目すべきは、ナスダックによるものだ。

 ナスダックOMXは、非公開株式の取引にブロックチェーンを用いる技術をテスト中で、今年中に導入する予定だ。導入されれば、これまで長期間にわたって証券取引を支えてきたシステムを揺るがすことになると考えられている(ナスダックOMXは、アメリカのナスダック証券取引所や北欧の証券取引所を運営する会社。「ブロックチェーン」はビットコインの取引を記録する公開の台帳。詳しくは、拙著『仮想通貨革命』第1章、第2章、ダイヤモンド社、2014年を参照)。

この計画については、ナスダックが今年の6月24日に発表している。

 サンフランシスコに本拠を置くビットコイン技術提供会社Chain.comがシステムを構築する。ナスダックは、この会社とパートナーシップを締結した。

 ナスダックOMXグループは、「潜在的に多大な影響力を持ったこの新しい試みは、証券取引に革命を起こす」「ナスダックは、この新しい技術の世界的な中心になる」としている。

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野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]

1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、2011年4月より早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。主な著書に『情報の経済理論』『財政危機の構造』『バブルの経済学』『「超」整理法』『金融緩和で日本は破綻する』『虚構のアベノミクス』『期待バブル崩壊』等、最新刊に『仮想通貨革命』がある。野口悠紀雄ホームページ

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野口悠紀雄 新しい経済秩序を求めて

アメリカが金融緩和を終了し、日欧は金融緩和を進める。こうした逆方向の金融政策が、いつまで続くのだろうか? それは何をもたらすか? その先にある新しい経済秩序はどのようなものか? 円安がさらに進むと、所得分配の歪みはさらに拡大することにならないか? 他方で、日本の産業構造の改革は遅々として進まない。新しい経済秩序を実現するには、何が必要か?

「野口悠紀雄 新しい経済秩序を求めて」

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