前回に引き続き、台北国際自行車展覧会・TAIPEI International Cycle show(一般公開日2010年3月17日~20日)のレポートをお送りする。会場となった南港展覧館の4階フロア、中央入り口から入って右の一番奥。LEV(Light Electric Vehicle/小型電動移動体)の展示コーナー。台湾政府・経済部(日本の経済産業省に相当)の工業技術研究院を中心として、LEV関連中小企業のブースが並ぶ。

中国製の電気モーターは
6ヵ月で壊れると不満の声

 そのなかで、こんな声を聞いた。

 電動バイク(日本の電動アシスト自転車)の心臓部、車輪中央に装着されているインホイールモーターが「中国製は(新車を買って)6ヵ月でまず壊れます。最長でも7ヵ月で必ず壊れます」。陳建栄氏は、台湾での電動車業界の常識を流暢な日本語でそう表現した。 

承得貿易海外有限公司の陳建栄氏。台湾、中国での電動バイク事情を詳しく語ってくれた。

 同氏は、台北の承得貿易海外有限公司のマネージング・ディレクター。同社は台湾メーカーFORSEN MOTOR社が台湾国内で製造している、電動バイクの改造キットを販売している。ここでいう改造とは、普通の自転車を電動バイクに改造する、という意味だ。そのキットには、インホイールモーター付きの前輪、リチウムイオン2次電池パック(台湾Power Source Enegy社製・オリビン鉄系)などが含まれる。

 陳氏は「中国製のブラシレスモーターが駄目なんです。だから、我々は耐久性と信頼性の高い台湾製のブラシ付きのモーターを販売しています」という。ブラシ(整流子)とは交流電動モーター内部品のこと。

 ブラシレスモーターは、ブラシ付きモーターよりも後に開発された技術だが、近年の大量生産によりブラシレスモーターの価格は急落。「中国製なら150元(約2000円)。ブラシ付きの方がブラシレスより(価格が)3倍高い。それでも最近、中国製に嫌気が指して台湾製ブラシモーターを購入する人が徐々に増えてきました」(陳氏)