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プレゼンは「目線」で決まる ― No.1プレゼン講師の 人を動かす全技術
【第14回】 2015年9月17日
著者・コラム紹介バックナンバー
西脇資哲

人間のプレゼン能力は、
年齢を重ねるほど低下する!?
「タブレット1人1台」立命館小学校のICT教育・最前線(後編)

タブレットPCを使いながら西脇氏の「プレゼン授業」に臨む立命館小学校の生徒たち

「立命館小学校の子どもたちにプレゼンを教えてください!」――ふだんはビジネスパーソン向けのプレゼン研修で日本全国を飛び回っている『プレゼンは「目線」で決まる』著者・西脇資哲氏だが、昨年にこんな依頼があったという。立命館小学校は、西脇氏が所属する日本マイクロソフトと提携し、ICT教育に力を入れたことで注目を集めている。
小学生にプレゼンテーションを教えたことでどんな発見があったのか? 同校・副校長の花上徳明氏との対談(後編)をお送りする。

(撮影/塩谷淳)

>>>【前編はこちら】
「プレゼン教育」は小6から始めるべき!?
「タブレット1人1台」立命館小学校のICT教育・最前線(前編)

いまの小学生はパワポを普通に使いこなす

――小学生たちにはどんなプレゼン授業をやったんでしょうか?

西脇資哲(以下、西脇) 先生方とも相談して「私の宝物」というテーマでスライドをつくってもらって、最後の授業で発表してもらいました。大学生や高校生だと、オピニオンや主張が入るテーマでやってもらうことが多いですけど、今回は全員が面白がって取り組めることを優先したんです。

花上徳明(はなうえ・のりあき) 1964年生まれ。東京都出身。国語科教員。大学卒業後、埼玉、千葉の私立中高に勤務。1996年から立命館慶祥中学・高等学校教員、立命館の一貫教育部勤務を経て、2011年より立命館小学校副校長。

花上徳明(以下、花上) 最後に大ホールに6年生の4クラス全員が集まって、プレゼン大会をやったんですが、なかなかの盛り上がりでしたよ。「ゲーム」とか「猫」といった児童それぞれの「宝物」が紹介されているなか、「家族」をテーマに選んでいる生徒もいたりして、いろいろと予想を超える内容でした。教員たちの目から見ても非常に面白かったです。

西脇 みんな、スマホで撮った動画なんかも、当たり前のようにスライドの中に埋め込んでいたりして、私も驚かされました。それぞれの子たちのITリテラシーが高いと感じましたね。


花上 いまの時代、「家にパソコンがない」という子どもはほとんどいません。ですから、学校で教えられる以前に、基本操作はひと通りできてしまう生徒はけっこう多いんですよ。今回は、さらに西脇さんからパワーポイントの操作を教えていただいたので、さらにスライドの完成度がいっそう上がっていました。

プレゼン中のトラブルにも、子どもは動じない

――プレゼンで舞台に上がった生徒をご覧になっていて、ふだんの姿との「違い」は感じられたりしましたか?

花上 私は副校長なので担任を持っているわけではないですが、西脇さんに指導していただいた学年の生徒たちを引率して、アメリカのポリテクニックスクールへ語学研修をしたことがあったんです。相手校の児童とはSkypeを活用して、事前学習をしたりもしていました。
語学研修のときも、プレゼンのときもそうですが、いつもはちょっとおとなしい感じの子が、ああいう場面になるとすごく堂々としゃべっていて、ちょっとした感動を覚えますね。

西脇 みんな堂々としていましたよね。大人ってプレゼンの最中にトラブルがあったりすると、すごく嫌だし、何より慌てるじゃないですか。でも、小学生の子たちはその点が違いました。間違ったスライドが出てきちゃったりしても、「あ、違うスライドが出ちゃいましたね」とか言いながら、それに合わせてトークの順序をその場で変えたりしていたのが印象的でした。

大人のプレゼンは練習すればするほど、この順序で完璧に話さなきゃいけないみたいな段取りが先行してしまいますけど、子どもは率直に自分の伝えたいことを表現すればいいというスタンスが貫かれていました。プレゼンの基本中の基本ができているんですよね。

このとき「プレゼン能力というのは、大人になればなるほど衰えていくものなんだな」と改めて実感しました。

「プレゼンターとしての教員」から見た
西脇メソッドのすごさ

――教育のプロという立場から見て、西脇さんの授業というのはいかがでしたか?

花上 小学生に教えるのって正直すごく難しいんですよ。僕はもともと高校の教員ですし、現場で小学生を教えた経験は実を言うと1年しかありません。とても楽しかったですけど、小学生に教えるというのは中高生に教えるのとは異質なんですよね。

たとえば、短文でしゃべらないといけない。「◯◯なのですが、××です」というように、接続助詞などを使って一文を長くする表現は避けるべきで、「◯◯です。ですが××です」というふうに文を短く区切って適切に話さないと、指示が伝わりにくかったり。
西脇さんのプレゼン、というか授業は、そのあたりも当然のようにクリアされていて、やっぱりさすがだなと感心しましたね。

西脇 言葉の表現については、別の国語の先生にも褒めていただきました。その先生は私の授業もすべてビデオで撮影されていて、あとからいろいろとフィードバックもいただきました。
その先生いわく、「国語の授業は読み方とか書き方とか文法は教えるのに、その具体的な運用、つまりプレゼンテーションは教えていない」と。「本当は国語のカリキュラムの中にプレゼンまで入っているべきなのではないか」とおっしゃっていましたが、そのとおりだと思いましたね。

将来的にリーダーになる子どもには、
プレゼン力が欠かせない

――西脇さんのプレゼン授業を通じて見えてきた今後の展望などはありますか?

花上 立命館小学校を卒業して世界に羽ばたいていった子どもたちが大人になったときに、まわりから「どうして君はそんなにプレゼンがうまいんだ?」と聞かれたりして、「いや、小学校のときに習ったんだよ」なんて言ってくれたらいちばんうれしいですけどね。

あとは、僕の個人的な願いとして、生徒たちには将来、必ずどこかの場面で「リーダー」になっていてほしいと思っているんです。別に、大企業の経営者になるだけじゃなくて、地域住民の中のリーダーでもいいし、サークルのリーダーでもいい。
リーダーとして企業や組織やチームを引っ張っていく立場になったときには、やはりプレゼンの能力というのは重要になると思っています。

西脇 私もいつも研修で言っていますが、プレゼンというのは「人に伝える」だけじゃなくて、「人を動かす」ためのスキルですからね。人を引っ張っていける人間になるうえで、プレゼン力は不可欠です。

花上 そう、グッと人を引っ張れる人になってほしい。これからはお金では人が動かない時代になってきます。人のために社会貢献ができる人、その大切さをしっかりプレゼンテーションして、まわりの人を率先して動かせる人になってほしいですね。

――小学生時代からプレゼンを学んできた子どもたちが、あと10年もすれば社会人になって会社に入ってくるわけですね。どんなことになるのか、いまから楽しみです。花上先生、西脇さん、本日はありがとうございました。

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西脇資哲 [日本マイクロソフト エバンジェリスト]

(にしわき・もとあき)
日本マイクロソフト株式会社 業務執行役員/エバンジェリスト
1969年生まれ。岐阜の小さなシステム会社でプログラマーとしてモニター画面に向き合う日々を過ごしつつ、ひそかにプレゼン技術の研究を重ねる。96年、日本オラクルに入社し、プロダクトマーケティング業務を経験。その後、IT業界屈指のプレゼンターとして頭角を現す。09年、マイクロソフトに入社後、マイクロソフト製品すべてを扱う唯一の日本人エバンジェリストとして活躍。2014年より業務執行役員。
また、独自のプレゼンメソッドが口コミで広がり、全国から講演・セミナー依頼が殺到。「年間250講演、累計5万人以上・200社以上が受講」という圧倒的実績を持つNo.1プレゼン講師としても知られている。三井住友海上、日立製作所、NHK放送研修センター、JT、富士通、サイボウズ、ルネサンス、クレハ、日本ユニシス、国会議員、環境省、立命館小、筑波大附属駒場中・高など、大手上場企業から初等教育の現場にいたるまで、幅広い層の「伝える力」向上に貢献。また、2010年より継続開催中の「エバンジェリスト養成講座」では、定員が即座に埋まるほどの人気を誇る。
著書に『エバンジェリスト養成講座』(翔泳社)、『エバンジェリストの仕事術』(日本実業出版社)がある。

[Twitter]@waki twitter.com/waki
[Facebook]西脇 資哲 www.facebook.com/mnishiwa


プレゼンは「目線」で決まる ― No.1プレゼン講師の 人を動かす全技術

IT業界屈指のプレゼンテーターとして知られる、マイクロソフトのカリスマ・エバンジェリスト西脇資哲氏。彼には「プレゼン講師」というもう一つの顔がある。なんと年間250回以上のプレゼン研修・講演をこなしているという西脇氏。そんな圧倒的な研修実績に裏打ちされた「プレゼンテーション技術の王道」やそれにまつわるエピソードを語る!

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