ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
イノベーション的発想を磨く

マーケティングデータより感動体験で売る
「デザイン的思考」とは?

~『里山を創生する「デザイン的思考」』(岩佐十良 著)を読む

情報工場
【第1回】 2015年9月18日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage

融資引き上げのピンチを
「デザイン的思考」で乗り越える 

『里山を創生する「デザイン的思考」』
岩佐 十良 著
KADOKAWA/メディアファクトリー
222p 1,300円(税別)

 開業に向けた資金提供を約束していた銀行が、突如融資を引き上げると言ってきたら…。事業を手がけたことがある者ならば、それがどれほど恐ろしいことかが分かるだろう。

 新潟県大沢山温泉で開業準備を進めていた宿泊施設「里山十帖」は、古い温泉旅館からのリノベーション工事もほぼ完成し、あとは業者への決済を残すのみという状況だった。しかし、工事が進むにつれ大幅にふくらんだ予算を再評価すべく、銀行が新潟県の旅館稼働率や客単価等の実績データにもとづくシミュレーションで得た予測は開業後3ヵ月での資金ショート。不渡りを出すことが分かっている事業に追加融資はない。常識的判断だ。

 そう言われたならば、設計を根本から見直すのが普通だ。事業規模をできる限り縮小して、コストをギリギリまで削り、採算が見込めるよう必死に事業計画を練り直す。しかし、里山十帖のクリエイティブディレクターである本書の著者、岩佐十良氏は、絶体絶命の状況下、すべての個人資産を売り払い、親戚からも借金をして、自らの想いを実現するための資金を必死でかき集めた。そうして、銀行の融資凍結判断から半年後の2014年5月、「里山十帖」は無事にグランドオープンを迎えることができた。

 それから3ヵ月たった時点で、里山十帖は90%という驚異的な客室稼働率を叩き出した。銀行が既存のデータからは実現不可能と判断した「客室稼働率60%」という採算ラインをはるかに超える数字だった。不可能を可能に変えた秘訣は何か。それは本書で紹介されている「デザイン的思考」にある。

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR
【デジタル変革の現場】

企業のデジタル変革
最先端レポート

先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

情報工場

2005年創業。厳選した書籍のハイライトを3000字にまとめて配信する書籍ダイジェストサービス「SERENDIP(セレンディップ)」を提供。国内の書籍だけではなく、まだ日本で出版されていない、欧米・アジアなどの海外で話題の書籍もいち早く日本語のダイジェストにして配信。上場企業の経営層・管理職を中心に約6万人のビジネスパーソンが利用中。

浅羽登志也

情報工場シニアエディター。1989年、京都大学大学院修士課程修了後、リクルート入社。同社スーパーコンピュータ研究所にてインターネットに関する研究に従事。1992年、株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ)に創業メンバーとして入社。インターネット黎明期からサービス開発・技術開発に携わる。IIJは、日本で最初にインターネット接続の商用サービスを開始したインターネットサービスプロバイダで2006年12月東証一部上場。1999年、IIJ取締役、2004年より2009年までIIJ取締役副社長。2008年より2015年までIIJイノベーションインスティテュート代表取締役社長。2015年7月よりIIJフェロー。情報編集にも興味を持ち、2007年より松岡正剛氏主催のイシス編集学校で松岡流編集術を学ぶ。現在イシス編集学校の師範を務める。2010年に軽井沢へ転居。自然農法で、自家用の蕎麦や大豆を栽培中。

 


イノベーション的発想を磨く

経営戦略を描くヒントになる、イノベーションのヒントになる、マネジメント層のための知恵袋になる…。経営層・管理職に本当に役立つ書籍を厳選して紹介。

「イノベーション的発想を磨く」

⇒バックナンバー一覧