マニュアル接客は悪なのか?

 少し前の話(3年くらい前の話だと記憶していますが)になりますが、こんな話があったのをご記憶の方もいらっしゃるかと思います。

 買出しを頼まれた1人の男性が、あるファーストフードのハンバーガーショップに行きました。

■男性:「ハンバーガー20個ください。」

□店員:「かしこまりました、ハンバーガー20個ですね。店内でお召し上がりになりますか?」

■男性:「テイクアウトで。」(1人で来てるんだから、テイクアウトだってわかるでしょう・・・)

 ということで、実際にこの話が事実なのか否かはわかりませんが、「マニュアル接客の弊害」といったテーマでマスコミにも結構な頻度で取り上げられていました。

 では、本当に“マニュアル”が悪いのでしょうか?

 チェーン展開しているハンバーガーショップの多くがお客さまに何を約束しているのかを考えてみて下さい。

<日本全国どこの店舗で食べても「同じ味」であり、「同じ価格」であること>

 これが大きな安心感につながっています。

 また、ファーストフードと呼ばれる業態ですから、「スピード」(注文して商品が出てくるまで)は不可欠な要素でしょう。

 つまり、お客さまとの約束を果たすために大切なことは、「業務の卓越性」(オペレーショナルエクセレンス)を発揮することであり、このような業態の企業にとってマニュアルは必要不可欠な経営ツールだという主張のほうが正しいようにも思えます。

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 あえて誤解を恐れずに極論を言えば、ハンバーガー20個を注文した1人のお客さまに対して「店内で・・・」と対応したところで、あるいは、たとえスタッフの笑顔が無かったとしても、それだけでお客さまを失ってしまうほどの悪影響は受けないのではないかと思います。

 では、なぜマニュアル接客は揶揄されることが多いのでしょうか?