ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
野口悠紀雄 新しい経済秩序を求めて

米国利上げがもたらす混乱と不確実性
日本に必要な経済政策は何か?

野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]
【第30回】 2015年9月24日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage
新興国の通貨や株価は既に大幅に下落している

 FRB(アメリカ連邦準備制度理事会)利上げ延期決定に対して、ニューヨークの証券取引所では株価が値下がりした。また、円高が進み、日経平均株価も値下がりした。

 これは一見すると不思議な現象である。利上げ延期になれば、これまでと同じように投機を続けることが可能であるはずだからだ。

 なぜこうした動きが生じたのだろうか?そして、今後はどうなるのか?

FRBが利上げできないほど
新興国経済の問題が大きい

 仮に株価や為替レートが、利上げが9月に行なわれることを織り込んでいたとすれば、それが実現しないと分かったので、逆方向の動きが生じるはずだ。円高については、この解釈どおりのことが起きた。しかし、この解釈によれば、株価は上昇するはずである。

 しかも、利上げは、延期になっただけのことであり、中止になったわけではない。利上げは、今後確実に行なわれる。不確実なのは、時期と幅だけだ。

 したがって、現実の動きを説明するものは、「FRBが利上げできないほど経済状況が混沌としている」ということしかない。ここで重要なのは、つぎの2つだ。

 第1に、この場合に問題とされている「経済情勢」とは、アメリカ経済のそれでなく、新興国経済のそれである。

 つまり、金利引き上げによってアメリカ経済の成長率が下がるから引き上げられないのではなく、新興国の経済が悪影響を受けるために、アメリカが金融正常化できないのである。

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]

1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、2011年4月より早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。主な著書に『情報の経済理論』『財政危機の構造』『バブルの経済学』『「超」整理法』『金融緩和で日本は破綻する』『虚構のアベノミクス』『期待バブル崩壊』等、最新刊に『仮想通貨革命』がある。野口悠紀雄ホームページ

------------最新経済データがすぐわかる!------------
『野口悠紀雄 使える!「経済データ」への道』


野口悠紀雄 新しい経済秩序を求めて

アメリカが金融緩和を終了し、日欧は金融緩和を進める。こうした逆方向の金融政策が、いつまで続くのだろうか? それは何をもたらすか? その先にある新しい経済秩序はどのようなものか? 円安がさらに進むと、所得分配の歪みはさらに拡大することにならないか? 他方で、日本の産業構造の改革は遅々として進まない。新しい経済秩序を実現するには、何が必要か?

「野口悠紀雄 新しい経済秩序を求めて」

⇒バックナンバー一覧