9月3日に行われた軍事パレードは、中国の内外に「強い中国」をアピールし、中国は今後世界平和を守るために力を尽くすことを強調した。このパレードは中国の軍改革の成果、習近平国家主席の政権基盤の安定をアピールするという意味で、成功だったといえる。

 だが、その一方で、パレードが行われた北京では徹底した社会規制がしかれ、中国共産党が重視している「人民」の生活に影響を及ぼした。今回の軍事パレードに関する一連の規制措置は8月20日から9月3日までとられた。

 中国では、毎年春に開かれる全国「両会(全国人民代表大会・政治協商会議)」や毎年秋に開かれる中国共産党中央委員会全体会議など重要イベントの前には、地方から北京に入る人に対する管理を強化する。国際会議や重要なスポーツイベントが行われる前も規制が強化される。

 それに対し、一般の中国人のこれに対する見方は分かれる。ある人は「国のやることだから仕方ない」とあきらめ半分に語り、ある人は「このようなイベントは自分たちの生活には関係ないのに本当に迷惑」と語る。

 いずれにしても、規制の強化はあまり歓迎できるものではないのは確かである。中国は社会に対する厳しい管理が必要なのか、考えてみたい。

「不条理な規制」と批判した
FT中国語版の記事

 9月2日に『フィナンシャルタイムズ』中国語版に掲載された「大閲兵と大規制」と題する記事(以下FT記事と略)は、軍事パレードを前にした一般の中国人の考え方の一端を示している。記事によると、今日の中国は「不条理劇」の舞台であり、今回の社会規制もまたそうであったという。

 記事はいくつかの「不条理な規制」を紹介している。第一に、メディアに対する規制だ。勝利記念ムードを醸成するために、中国の関係部門はすべてのテレビ局の衛星放送は9月1日から5日までの期間、娯楽性のある番組を放送しないよう各テレビ局に求めたが、多くのネットユーザーは「勝利を祝うのではないか。戦争に負けたのでもあるまいし、どうして娯楽を禁止するのか」と突っ込みを入れたという。

 第二に、大気汚染に対する規制だ。軍事パレード当日の北京の大気汚染を防ぐために、北京とその周辺地域は自動車のナンバー規制を実施し、多くの工場も操業停止して、汚染排出物の減少に努めた。それだけでなく、河北省では一部の農家の土竈(どがま)まで使用禁止にし、料理の煙によって大気汚染が引き起こされないようにしたが、このような措置は本当に奇妙に感じると、FTは指摘する。