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牛丼チェーンの“下克上”が物語る地殻変動
光なき外食ビジネスを救う「新たな方程式」とは?

友清 哲
2010年4月16日
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かつて「牛丼チェーンの最高峰」と言えば、吉野家だった。マクドナルドなどと共に21世紀初頭のデフレ時代を生き抜き、熱狂的なファンにも支えられてきた。しかし、ここのところ吉野家の調子が芳しくない。店舗数では後続のすき家に追い越され、値下げ戦争でもすき家や松屋に先を越されている。2010年2月期は、上場以来最大の大赤字に陥った。外食産業では、「下克上」ともいうべきパワーバランスの変化が顕在化している。市場では、いったいどんな地殻変動が起きているのか? そして、外食各社が光の見えない「安売り合戦」から抜け出すためには、どうしたらよいのだろうか?(取材・文/友清 哲、協力/プレスラボ)

売り上げ急減の吉野家と急増のすき家!
両社の明暗を分けた「埋められない差」

 「業界最大手…ともてはやされたのも今は昔。店舗数ではとうの昔に首位陥落、売り上げについてもBSE問題(2005年)以来の赤字幅で、ジリ貧の状態です。春はいっそう値下げ競争が激化する季節ですから、これで致命傷を負うことにならなければいいのですが…」

 不安げにそう語るのは、牛丼チェーン大手「吉野家」の元従業員。外食産業の中でも、牛丼チェーンにおける値下げ競争の激化ぶりは、ここ数年つとにメディアを賑わせている。

 かつては店舗数で業界トップを誇った吉野家だが、08年9月以降、首位の座を「すき家」(ゼンショー)に空け渡している。今年3月現在では、吉野家の1179店に対しすき家が1405店。意外に思う人も多いかもしれないが、「今や吉野家は牛丼の最大手ではない」のだ。

 その苦境ぶりは、ここに来てより鮮明化している。吉野家を運営する吉野家ホールディングスの発表では、3月の売上高は前年同月比20.6%減という大幅なマイナスに。そればかりか、13ヵ月連続で前年実績を割り込むという不本意な事態に陥ってしまった。

 それに対して、ライバルのすき家は前年同月費12.1%増となっており、すでに明暗がはっきりと分かれている。先日発表された10年2月期の連結決算でも、吉野家は上場以来最大となる約89億円の最終赤字に転落してしまった。

 消費者の目から見れば、吉野家もすき家もそれほど業態や戦略が違うとは思えない。にもかかわらず、どうしてここまで明暗が分かれてしまったのか。

 実は今、牛丼チェーンでは、二番手以下がトップに肉薄・あるいは逆転する「下克上」ともいうべきパワーバランスの変化が顕在化しているのだ。その理由と、昨今の流動的な外食ビジネスの現状を探ってみよう。

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