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嫌われる勇気──自己啓発の源流「アドラー」の教え
【第35回】 2015年9月30日
著者・コラム紹介バックナンバー
古賀史健,岸見一郎 [哲学者]

原作者も絶賛!
舞台版『嫌われる勇気』の魅力
岸見一郎/古賀史健インタビュー

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舞台版『嫌われる勇気』の上演が、9月26日から赤坂RED/THEATERで始まっています。全編が青年と哲人の対話で構成されている原作は、なんとサスペンスフルな人間ドラマに変貌を遂げていました! さっそく舞台を鑑賞した原作者の岸見一郎氏と古賀史健氏に感想をうかがいました。

『嫌われる勇気』舞台で熱演する利重剛さん(右)と黒澤はるかさん。

頑張って生きてみようという
勇気がもらえるドラマ

──満席の会場で観終わった方の多くが、ハンカチで目を拭っていましたね。原作者として舞台をご覧になった第一印象はいかがでしたか?

古賀史健(以下、古賀) 実は鑑賞前に演出の和田憲明氏からシナリオの第一稿をいただいていたんですが、あえて読まなかったんです。事前に和田さんとお会いして「この方ならお任せしておけば大丈夫」と思っていたので、内容を知らずに舞台を観て新鮮な驚きを味わったほうが楽しめるだろうと。大正解でした。それにしても内容的には「まさかこんな物語になるとは!」という一言に尽きますね! これはもう観ていただくしかない、というのが率直な感想です。

──凄惨な殺人事件が起きたり、想像を絶するほど辛い過去をもった人物が登場したりと、あの原作をこのように戯曲化したのは本当に驚きでしたね。岸見先生はいかがでしたか?

岸見一郎(以下、岸見) 私も観終わってしばらくは目頭が熱かったです。劇全体のテーマは非常に重いものでした。それゆえ、生きていくのはすごく辛くて苦しいことだという印象を途中までは受けるかもしれません。しかし、最後の最後になってほんの少し希望の光が見えると言いますか、生きていてよかった、もう少し頑張って生きてみようという勇気をもらえるドラマだったと思います。そうした点が非常に印象的でしたね。

終演後の観客席で感想を語り合う岸見氏(右)と古賀氏。

──原作とはストーリーがまったく異なりますが、舞台ならではの魅力はどこにあると感じられましたか?

岸見 文字で書かれた本と異なり、舞台で演じる際には視覚に訴える必要があります。そのあたりがどう表現されるのか非常に興味をもって今回観させていただきました。
 たとえば原作における哲人つまり利重剛さんが演じる教授と、彼のもとに相談に来る人たちとの心理的な距離が、物理的に上手く演じられていましたよね。利重さんが少しずつ来談者に近づいていくといった変化です。細部まで考え抜かれた演出がなされ、利重さんも巧みに演じられていたことが非常に印象的でした。

古賀 原作では、哲人と青年という二人の登場人物しかいないんですが、青年のなかにもたくさんの青年の顔があって、哲人のなかにもたくさんの哲人の顔があるんですね。つまり、ある意味で多重的な人物像になっている。
 舞台のほうでも、原作の青年に該当する登場人物が複数出てきますし、哲人に該当する教授もある意味で多様な面を見せてくれます。それゆえ、登場人物が増えサスペンス的な物語が加えられることになっても、原作の『嫌われる勇気』がやろうとしていたことが何ら損なわれていません。本当によく原作を理解してくださったうえで解釈を加えて頂けているなと感じます。

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古賀史健 (こが・ふみたけ)

 

ライター/編集者。1973年福岡生まれ。1998年出版社勤務を経てフリーに。これまでに80冊以上の書籍で構成・ライティングを担当し、数多くのベストセラーを手掛ける。20代の終わりに『アドラー心理学入門』(岸見一郎著)に大きな感銘を受け、10年越しで『嫌われる勇気』の企画を実現。

 

岸見一郎[哲学者]

きしみ・いちろう/1956年京都生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程満期退学。専門の哲学(西洋古代哲学、特にプラトン哲学)と並行して、1989年からアドラー心理学を研究。精力的にアドラー心理学や古代哲学の執筆・講演活動、そして精神科医院などで多くの“青年”のカウンセリングを行う。日本アドラー心理学会認定カウンセラー・顧問。


嫌われる勇気──自己啓発の源流「アドラー」の教え

フロイト、ユングと並ぶ心理学界の三大巨頭とされながら、日本では無名に近いアルフレッド・アドラー。彼はトラウマの存在を否定したうえで、「人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである」と断言し、対人関係を改善する具体策を示してくれます。まさに村社会的空気のなかで対人関係に悩む日本人にこそ必要な思想と言えるでしょう。本連載では、アドラーの教えのポイントを逐次解説することでわかりやすく伝えます。

「嫌われる勇気──自己啓発の源流「アドラー」の教え」

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