不景気には民族(=顧客)の大移動が起こる

 太古から天候不順などの不作が続くと民族の大移動が起こっています。そして、その度に国のあり方も大きく変わっています。

 現在でも状況は同じです。不景気になると民族(=顧客)の大移動が起こります。そして、盛衰する企業にも大きな変化が出ます。なぜ、このようなことが起こるのか、まずはシンプルに考えてみましょう。

 例えば、これまでお小遣いとして月5万円受け取っていたサラリーマンがいたとしましょう。それが不景気の影響を受けて、妻から「今月からお小遣い3万円ね」と言われたとします。すると、これまで常連だった店に通えなくなります。でも質は落としたくないので、同じお金でもよりよい質のところ、もしくは、同じ質でより安いところを探そうとします。つまり、それに従って一気に顧客の流動化が起こります。これは、好景気には起こりえないことです。

 BtoBでも全く同じです。売上がダウンすると、企業が真っ先に実施するのがコストダウンです。それはまず、今までの取引先の見直しにつながります。特に今回の不景気では、価格ダウンの要請を取引先にするのではなく、いきなり「あなたの会社とは、来月で契約を切らせてもらいます」と、バッサリ取引を打ち切る現象が起きています。つまり、顧客の流動化が一気に起こるということです。

 とはいえ、これは逆にいえば“大チャンス”です。なぜなら、2番手以下の企業でもシェアを大きく伸ばすことが可能であるからです。いい商品・サービスに対して適正価格を打ち出せる企業は、これを機会に思い切った営業戦略をとることをお勧めします。上手く新規顧客にアプローチできれば、自社の顧客層は一気に広がります。

 しかし、この決断は簡単でないことも事実です。過去に不況下でも売上を拡大した企業の事例を調べると、他社が営業コストや広告・宣伝コストを落とす中、反対にそこへコストをかけ続けて成功した企業がよくクローズアップされています。これは、ある意味正しく、ある部分では正しくないといえます。

 まず大前提として、これまで述べてきた競争力のある商品・サービスを適正価格で提供できる企業でなければなりません。その上で広告宣伝・販売促進コストをかけて、不況の中、思い切った営業戦略をとることは、いくら競争力を持つ製品を持っていたとしても、普通ならば二の足を踏むはずです。

 そこで私共としては、クライアント先には新しい営業戦略をご提案しています。