この4月から、日本航空(JAL)と全日本空輸(ANA)のマイレージプログラムに異変が起きている。驚くような特典が付くキャンペーンが連発されているのだ。
最も目を引くのは、両社とも、普通運賃で搭乗した場合、通常のマイルと同数のボーナスマイルが付き、2倍のマイルを獲得できるキャンペーンだ。上級会員向けには、通常の2倍以上のマイルが付くサービスも行っている。
さらにJALの場合、マイル獲得だけでなく、使うほうでもキャンペーンを展開。「ディスカウントマイル」と名づけて、通常より少ないマイル数で搭乗できるサービスを提供している。
たとえば、東京~沖縄間(普通席・往復)のチケットを手に入れるのに必要なマイル数は通常1万5000マイルだが、キャンペーン期間中なら1万2000マイルですむ。
これまでも、類似のキャンペーンは行われてきたが、「サービスの規模は異例」(業界関係者)という。
両社とも、無理を承知で顧客争奪戦をしているわけだが、背景には、JALの破綻による、マイレージ会員の奪い合いがある。
JALの経営危機が本格化した昨年秋以降、ANAのマイレージ新規会員数、そしてANAカード(クレジットカード)の新規会員数が前年比1.5~2倍近い勢いで伸び始めた。
一方、JALのマイレージ新規会員数は同期間、低迷。特に、会社更生法適用申請をした1月、そして2月は新規会員数が激減した。「当然、法的整理の影響は大きかった」(JAL関係者)。ここからさらに顧客数を増やしたいANAと、なんとか顧客離れを食い止めたいJALの一騎打ちとなっているのだ。
マイレージサービスは顧客囲い込みに有効だが、行き過ぎると将来の負債を増やすだけ。消耗戦に陥っている。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 津本朋子)