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野口悠紀雄 新しい経済秩序を求めて

TPP合意で加速する中国の独自経済圏形成を危惧する

野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]
【第33回】 2015年10月15日
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交渉で自動車は農業と並ぶ最重要課題だったが…

 2010年3月に開始されたTPP交渉が、10月5日大筋合意に達した。これに対してポジティブな論評が多く見られる。しかし、私は交渉の開始当時から、TPPに疑問を抱いていた。自由化の促進という抽象的な言葉だけが叫ばれ、その機能についての詳しい分析がなされていないからである。何より重要なのは、TPPがもたらすマイナスの側面が十分考慮されていないことだ。

コメと車は予想通り不満足な結果
TPPは成長戦略になりえない

 最重要の課題は、コメと自動車であった。そして、これに関する結果は不満足なものであった。

 コメについては、無関税輸入枠を増やすが、以下に述べるように、その分は財政資金で購入するのと同じことになる。自動車については、関税の全廃までに25年もかかる。

 コメも自動車も、交渉の当初から聖域化されており、もともと現状からの大きな変化は望めないと予測されていたが、実際にその通りの結果になった。

 今回の合意で最大の問題は、原産地規制の条件がかなり厳しく設定されたため、「中国排除」が現実化することである。中国は、これに対抗してすでに独自の経済圏形成に向かって進みつつあり、これが今回のTPP合意で加速化することはほぼ確実だ。これは、日本の製造業の将来に大きなマイナスの影響を及ぼす。当初から予測されたことではあったが、それが現実化しつつある。

 以下では、これらの各々について見ることにしよう。

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野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]

1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、2011年4月より早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。主な著書に『情報の経済理論』『財政危機の構造』『バブルの経済学』『「超」整理法』『金融緩和で日本は破綻する』『虚構のアベノミクス』『期待バブル崩壊』等、最新刊に『仮想通貨革命』がある。野口悠紀雄ホームページ

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野口悠紀雄 新しい経済秩序を求めて

アメリカが金融緩和を終了し、日欧は金融緩和を進める。こうした逆方向の金融政策が、いつまで続くのだろうか? それは何をもたらすか? その先にある新しい経済秩序はどのようなものか? 円安がさらに進むと、所得分配の歪みはさらに拡大することにならないか? 他方で、日本の産業構造の改革は遅々として進まない。新しい経済秩序を実現するには、何が必要か?

「野口悠紀雄 新しい経済秩序を求めて」

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