経営×総務

帝国データバンクが明かす
不正に走る取引先の見抜き方

藤森徹・帝国データバンク情報統括部長

今夏メディアを賑わせた東芝の不正会計のほとぼりも冷めぬなか、秋に入るとドイツの名門企業・フォルクス・ワーゲン(VW)グループのディーゼル排ガス規制に関わる不正問題が発覚した。まさに洋の東西を問わず、それぞれの国を代表する企業が不正行為に手を染めていたことになる。頻発する企業スキャンダルが意味することは何なのか。自社がとばっちりを受けないために、不正に走る取引先を見抜くためにはどうすればいいのか。話題の経営書『御社の寿命』(中公新書ラクレ)の著者である藤森徹・帝国データバンク情報統括部長が読み解く。(構成/中村宏之・読売新聞東京本社調査研究本部主任研究員)

東芝に続きVWまで――なぜ企業は
不正行為に手を染めるのか?

東芝にVW、洋の東西を問わず不正に走る企業が後を絶たない。もしもそんな企業が取引先にいたとしたら、「御社の寿命」も縮まってしまうだろう

 VWグループにしてみれば、コーポレート・ガバナンス(企業統治)に関わる法律や仕組み、制度は米国などとは異なっていたとしても、労働者側や金融機関の監視の目もしっかりあったはずです。「一部の組織で不正があった」というのが現段階でのVWの主張ですが、一部であってもこれほどまでの不正が見過ごされ、隠されていたのです。これが企業の現実であり、もはや仕組みや制度の整備では不正は防げないということを意味します。

 これは企業の規模の大小に関わる問題ではありません。会社の規模が大きければ色々な安全装置やリスク管理の関門を整備したり、準備したりしていると思われがちですが、実はそれが抑止力になっていなかったということが、VWの事例で明らかになったと言えます。

 では結局、何が問題なのでしょうか。つまるところは社長=経営トップの資質に尽きると思います。社長が「不正なことはやらない」と明言し、行動で示さなければ、企業全体の抑止力にはなりません。これは世の中で指摘されている社外取締役の強化や厳罰化などといったことではなく、社長自らそういうことをやらないという姿勢です。そして、そうした資質を持つ人物を社長に据えることが大切なのです。そのためには、本人の資質もさることながら、選んだ後もそれを支えるしっかりした「番頭」のような存在もまた重要でしょう。

 日本国内の中小企業でも、コンプライアンス(法令順守)違反を犯した企業の倒産が最近、増えています。帝国データバンクの調べによると、2014年度のコンプライアンス違反倒産は前年度比4.8%増の219件で、過去最多を更新しました。2010年度から5年連続で増加しています。違反類型では「粉飾」が前年度比約70%増の88件となり、過去最高を記録しました。

 粉飾決算はどうして起こってしまうのでしょうか。理由は大きく分けて2つあると思います。1つは、企業が赤字決算を避けるため、もう1つは経営者の体面を保つためです。

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