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日本人が知らないリアル中国ビジネス 江口征男

“無料化”競争の激しさは日本以上!
知られざる中国の「FREE勝者」たち

江口征男 [智摩莱商務諮詞(上海)有限公司(GML上海)総経理]
【第21回】 2010年4月27日
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 日本でもベストセラーになったクリス・アンダーソンの『FREE』。その中では、インターネットを中心とするデジタルの世界では、商品・サービスの提供コストがゼロに近づく「無料化」が進むと指摘されている。

 そんな時代にIT企業が生き残るためには、「無料」というエサでできるだけ多くの消費者を釣り、その中の一部の消費者に「有料」の商品・サービスを購入してもらうことで、ビジネスを成り立たせる「FREE戦略」をとる必要がある。デフレが進む日本では、特にこの「無料」というキーワードがかなり刺さっているようだ。

 ただし、このFREE戦略は、実は日本以上に中国で有効に機能する可能性が高い。一般的に中国人は、庶民から富裕層まで、購入する商品・サービスの「価値」と「価格」のバランスにかなりうるさい。

 そんなカネにうるさい中国人向けのビジネスにおいては、「無料」というキーワードが日本人以上に“刺さる”からだ。

日本よりも「FREE」化が進む中国
無料でお客を誘い込む悪徳美容室も

 たとえば、中国でも快進撃を続けている化粧品販売のDHC。中国参入当初は、中国市場での認知度がほぼゼロからのスタートだったが、「無料サンプル」の配布などで一気に知名度を上げ、収益も急成長を続けている。

 現在、中国のC2Cサイトで圧倒的なシェアを持つ淘宝網(タオバオ)も「FREE戦略」で成功した。サービス開始当初は、競合の易趣網(eBay)にかなり先行されていたが、「利用料金無料」を旗印にして、あっと言う間に易趣網(eBay)を抜き去ることに成功した(今では、易趣網(eBay)も利用料金を無料にしている)。

 これらの例からもわかるように、中国ビジネス、特に消費者向けビジネスにおいては、FREE戦略が有効に機能する。逆に、中国人の「無料」好きを逆手にとり、騙す輩もいるくらいだ。

 たとえば、「悪徳美容室」の例が挙げられる。無料でキレイな髪形にするという誘い文句で客を呼び込み、実際にはそのままでは帰れないようなひどい髪型にして、「まともな髪形にして欲しければカネを払え」というヒドイ手口で消費者を騙す悪い美容室もある。

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江口征男 [智摩莱商務諮詞(上海)有限公司(GML上海)総経理]

1970年、神奈川県横須賀市生まれ。横浜国立大学大学院工学研究科修了、Tuck School of Business at Dartmouth MBA。Booz & Company, Accentureなどの経営コンサルティング会社、子供服アパレル大手のナルミヤ・インターナショナルを経て、中国にて起業。上海外安伊企業管理諮詞有限公司(Y&E Consulting)、(株)MA PARTNERSの創業経営者でもある。
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世界経済の牽引役として注目を浴びる中国に進出する日本企業は、後を絶たない。だが、両国の間に横たわる「ビジネスの壁」は想像以上に厚い。今や「世界一シビアな経済大国」となった中国で日本企業が成功するためのノウハウを、現地コンサルタントが徹底指南する。

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