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絶対儲かる「値上げ」のしくみ、教えます
【第10回】 2015年10月22日
著者・コラム紹介バックナンバー
石原明 [日本経営教育研究所代表、僖績経営理舎株式会社代表取締役]

BtoBのビジネスモデルで、既存顧客への値上げをどのように成功させたのか?

発売3週間で、3刷となった本書『絶対儲かる「値上げ」のしくみ、教えます』。前回は、BtoCのビジネスモデルで、値上げの成功事例を紹介、分析しました。今回は、BtoBのビジネスモデルの成功事例を紹介します。

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値上げと共に問題加盟店を説得、経営が加速したFCチェーン

 新規顧客に対して値上げを成功させ、同時にFC創業時の取り決めで足かせとなっていた問題を一気に解消させたFC企業の事例を参考に紹介します。

 こちらの企業はFC事業を始めて30年以上、経営者は事業を継承したばかりの3代目、年齢も30代前半と若く、意欲に燃えて経営をスタートさせたところで、困難な状況に直面し、経営相談にやってきました。

 話を聞くと、先々代がエリア制を敷いていたために、優良マーケットにもかかわらず、意欲のある新規代理店が増やせないということでした。また、成果の出ない代理店が居座り、権利ばかりを主張していたようです。

 こういう事例は結構あり、エリア制をとっているFCでは共通の問題になっています。

 成果の出ない代理店が撤退してくれればいいのですが、マーケットが良いので撤退したがらないという、困った状況でした。

 この時私が取った方法が、時間をかけて値段を改善していく方法にプラスして時間をかけてエリア制を廃止していく、権利を剥奪していく、という方法でした。

 こちらの場合も期限は2年で設定。まずは新規加盟店の加盟料と成果報酬フィーを値上げ、さらには商品の卸価格の見直しによる値上げを実行してもらいました。その理由として、2年後にはすべてのエリア制をなくすことでマーケットの拡大ができることを掲げました。

 エリア制の問題で加盟したくてもできない希望者がいたので、新規契約が加速、この制度変更で一気に明るい未来が見えてきました。新規加盟者は、最初の開業が希望エリアではないにしても2年後にはいろいろなエリアに出ていけるので、まずは開業、そこで仕事を覚えて将来の準備をするという感じでスタートを切ってくれました。

 その後の経過を見ても、結果的にこの2年間がちょうどよい準備期間となりました。

 もちろんこの新規契約形態は、現在FC加盟のないエリアから開始し、既存エリアにこのエリア制廃止はすぐには適用しない、適用するのは2年後とすることで全体の合意を取る形にしました。

 これをFCの大会で宣言、その後、社長・役員・各担当営業が先ほど紹介した問題FC顧客に対して、

「2年後にはエリア制が廃止になりますが、こんな有力マーケットを独占しているわけですから、後発の開業があっても大丈夫なくらいマーケットを支配してしまってくださいね」
「あと1年半後にはエリア制が廃止になりますが、負けないように準備していってくださいね」
「あと1年ですが大丈夫ですか? 頑張りましょうね」

「あと半年ですよ」

 と伝えて、エリア制の廃止、既存FC顧客の成果フィーと卸価格の見直しも完了することとなりました。

 当初は経営幹部からエリア制廃止に対して反対する意見も多く聞かれたのですが、若い3代目に理解力があり、実行しました。

 エリアオープンになった結果、全体の売上が2年後には150%増、さらにその2年後には3倍となっています。

 この結果は当然と言えば当然で、最初にFC加盟した会社が良いエリアを独占していて発展がなかったわけですから、有望なマーケットに意欲を持った新規加盟店が加わっただけでこの結果は生まれたのです。

 ちなみに、このエリア制廃止をきっかけにFCをやめた会社は一社もありませんでした。

 このFC全体の伸びは、原材料費のコストダウンの結果、既存のFC全体にも利益をもたらすことになりました。加盟店が増え全体の売上が増加したので、原材料費の見直しからFCの経営コストも下がったからです。

 何年も思い悩んでいた既存FCのエリア居座りという問題が、経営判断によって全体の売上増につながっただけでなく、居座っていた既存FCにも利益を生む結果となったわけですね。

 値上げに踏み切った場合の既存顧客に対する対応の具体例を書きましたが、基本はこのように時間をある程度かけて対応します。

 その結果、経営がある程度安定したまま新規顧客に対して高い値段で販売、その値段で売れることが当たり前の状態になる頃には既存顧客に対してもいろいろな要求ができるようになり、問題のある既存顧客を切り離せるようになるということですね。

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石原明 [日本経営教育研究所代表、僖績経営理舎株式会社代表取締役]

 

ヤマハ発動機株式会社を経て、外資系教育会社代理店に入社。約6万人のセールスパーソンの中で、トップクラスの実績を収める。「セールス・マネージャー世界大賞」を受賞後、日本経営教育研究所を設立し、経営コンサルタントとして独立。中小企業から大企業まで、業種や企業の規模を問わず幅広いコンサルティング活動を行っている。
毎年の講演回数は100回以上。ビジネスの発想力やマーケティング力を開発・育成する「高収益トップ3%倶楽部」には、全国延べ4500社が参加。
2万人の読者を抱えるメールマガジン『社長、「小さい会社」のままじゃダメなんです! 』や、独自の視点で経営を綴るブログ『石原明の経営のヒント』も執筆中。
毎週金曜日に配信する人気Podcast番組『石原明の経営のヒント+(プラス)』は累計ダウンロード数2200万回を超えている。
著書に、『営業マンは断ることを覚えなさい』(三笠書房)、『「成功曲線」を描こう。』(大和書房)、『トップ3%の会社だけが知っている儲かるしくみ』(KADOKAWA)などがある。


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